2026年春節、春晩新記録とAI熱狂が示す“中国新経済”の現在

2026/02/19 11:15

2026年の春節(旧正月)商戦は、「文化」「消費」「AI」が一体となった、かつてない盛り上がりを見せた。中央広播電視総台(CMG)の春節聯歓晩会(春晩)は海外発信で新記録を打ち立て、決済データは内需の力強さを示し、IT大手による“AI春節”はデジタル体験の主役交代を印象づけた。

春晩、海外発信で“5つの最多”を達成

中央広播電視総台が制作する春晩は、対応言語数が過去最多、発信効果が過去最高、展開地域が最広、双方向の参加度が最も高く、さらに「海外千面スクリーン」展開も過去最大規模となり、“5つの最多”を達成した。中国文化の国際的発信力が、量・質ともに一段と高まったことを示している。

春晩は単なる年越し番組ではない。中国の人々にとっては家族団らんの象徴であり、海外在住の華僑・華人にとっては心のよりどころでもある。今年は多言語配信や海外大型スクリーンとの連動企画を通じ、視聴体験を「受け身」から「参加型」へと広げた。文化イベントが世界的な知的財産(IP)へと進化する、その転換点が2026年だったといえる。

除夕の決済件数49億件超、内需の底力を示す

除夕当日、中国銀聯と網聯が処理した決済取引は合計49.31億件に達し、2025年の除夕と比べて21.64%増加した。外食、娯楽、贈答品、デジタルサービスなど、春節特有の消費が幅広く活性化したことがうかがえる。この数字は単なる取引件数の増加ではない。モバイル決済が生活基盤として定着し、祝祭消費が実店舗とオンラインを横断する「全方位型消費」へと進化していることの表れでもある。春節は依然として中国最大の消費エンジンであり続けている。

阿里巴巴のAIが脚光――1.3億人が「通義千問」を利用

AI分野でも象徴的な動きがあった。阿里巴巴の大規模言語モデル「通義千問」には春節期間中に1.3億人が利用し、1日当たりの利用者数は、ByteDanceが展開するAIサービス「豆包」と並ぶ水準に達した。さらに、法人向けモデルの価格は、Googleの同種モデルの18分の1に設定され、市場拡大を強く意識した戦略が打ち出された。春節という国民的行事を契機に、AIは「先端技術」から「身近な道具」へと急速に浸透しつつある。

テンセント、10億元規模のお年玉企画

テンセントは、総額10億元規模のお年玉キャンペーンの実施状況を公表した。インターネット全体での抽選参加回数は36億回に達し、AIを活用した創作活動は10億回に上った。

従来の「受け取る」お年玉から、「参加し、創る」お年玉へ。利用者は抽選に参加するだけでなく、AIによるコンテンツ制作にも積極的に関わり、祝祭体験をともに作り上げた。プラットフォームは単なる配布の場から、創作の舞台へと役割を広げている。

文化×消費×AI――春節の新しい姿

2026年の春節は、三つの流れが交差した年として記憶されるだろう。
第一に、春晩の世界的展開が示す文化発信力の向上。
第二に、決済データが物語る内需の堅調さ。
第三に、IT大手によるAI活用がもたらした参加型祝祭体験の拡大である。

祝祭はもはや過去を祝うだけの時間ではない。テクノロジーと結びつくことで、新たな経済循環と文化表現の舞台へと進化している。2026年の春節は、その象徴的な一章となった。

(中国経済新聞)