ストレージコスト急騰で価格改定、小米(シャオミ)17 Ultra、起動価格大幅にアップ

2025/12/26 19:15

小米(シャオミ)は12月25日夜、北京でデジタルシリーズの新世代フラッグシップモデル「小米17 Ultra」を発表した。小米と独ライカ(Leica)によるイメージング戦略提携が深化して以降、初の本格的な成果となるモデルで、1インチの「光影マスター」センサーや2億画素の光学ズームレンズを搭載。約10カ月前に登場した15 Ultraから、カメラ性能をさらに強化した。

一方、市場の最大の関心は価格に向けられていた。小米グループのパートナーであり社長を務める盧偉冰(ルー・ウェイビン)氏は、発表会に先立つライブ配信で「新世代フラッグシップは値上げを避けられない」と明言していた。

その言葉通り、発表会で公表された小米17 Ultraの起動価格は6999元(約14万7,000円)。前世代の15 Ultra(6499元、約13万6,000円)から500元(約1万500円)の値上げとなった。すでに予約販売が始まっており、12月27日10時から正式販売される。

1.値上げの主因は「ストレージコスト」

値上げの背景について盧氏は、ストレージ価格の急騰を最大の要因として挙げた。ライブ配信では、デスクトップPC向けDRAMを例に、「今年7月から12月にかけて、約1000元(約2万1000円)だったメモリが3000元超(約6万3000円)にまで上昇し、ほぼ3倍になった」と説明。

このストレージコストの上昇が、スマートフォン全体の原価に直接跳ね返っているという。

盧氏は「15 Ultraの発表時、6499元は最後の価格になるかもしれないと警告していたが、当時は主にプロセッサやカメラのコスト上昇を想定していた。ストレージは想定以上に上がり、今や整機コストの“最大項目”になっている」と述べた。

2. AIサーバー需要が消費者向け市場を圧迫

ストレージ主制御チップおよびモジュールメーカーの関係者は、今回の値上げについて「AIサーバー需要の急増が最大の引き金」だと分析する。

多くのサーバーメーカーが上流のウエハー生産能力を先行確保し、なかには来年分まで埋まっている企業もある。その結果、消費者向け電子機器に回るストレージ供給が逼迫し、価格が大きく、かつ継続的に上昇しているという。

「上流のメモリ粒子を見ると、今年8月末には64GBクラスのストレージチップ(DRAMなど)が約3元(約60円)だったが、現在は約10元(約210円)にまで上がっている」と同関係者は語る。

3. スマートフォン市場全体で広がる値上げ

こうしたコスト上昇は、スマートフォン市場全体にも波及している。下半期に発売された新機種では、前世代比で100~200元(約2100~4200円)の値上げが相次ぐ。

Redmi K90:2599元(約5万4600円、前世代比+100元)
iQOO 15:4199元(約8万8200円、+200元)
vivo X300:4399元(約9万2400円、+100元)
OPPO Find X9:4399元(約9万2400円、+200元)

一方で、消費者の買い替え需要は依然として弱く、「コストパフォーマンス重視」の傾向が強まっている。調査会社Omdiaによると、2025年第3四半期の中国本土スマートフォン市場は前年比3%減と、依然調整局面が続いている。

構成引き上げで“体感価値”を強化

盧氏は11月下旬の業績説明会で、「2026年通年の供給契約はすでに締結済みだが、将来的には価格調整や製品構成の高度化でコスト圧力を吸収せざるを得ない」と述べている。その上で、「端末価格が上がれば、市場全体が縮小するのは避けられない」との認識も示した。

今回、小米は値上げの影響を和らげるため、二つの戦略を打ち出した。

第一に、従来あった12GB+256GBのエントリーモデルを廃止し、起動構成を12GB+512GBに引き上げた。価格は上がったものの、ストレージ容量を倍増させることで、ユーザーの「体感価値」を高めた形だ。

小米17 Ultraの価格は以下の通り。

12GB+512GB:6999元(約14万7,000円)
16GB+512GB:7499元(約15万7,000円)
16GB+1TB:8499元(約17万8,000円)

参考までに、15 Ultraは
16GB+512GB:6999元(約14万7,000円)
16GB+1TB:7799元(約16万4,000円)
だった。

ライカ版は想定以下の価格に

第二に、小米は最も訴求力の高いカメラ性能をさらに前面に押し出した。17 Ultraと同時に、ライカと「戦略的共創」による17 Ultra ライカ版も発表。

市場では1万元(約21万円)超との予測もあったが、実際の価格はそれを大きく下回った。

16GB+512GB:7999元(約16万8,000円)
16GB+1TB:8999元(約18万9,000円)

同一メモリ構成で比較すると、通常版との差は**500元(約1万500円)**に抑えられている。

ストレージ価格高騰という逆風の中で、小米17 Ultraは「値上げ」と「価値向上」を同時に打ち出すことで、市場の反応を探る試金石となりそうだ。

(中国経済新聞)