中国政府が日本への渡航自粛を呼びかける中、中国の航空会社が、日本の地方空港を発着する便を大幅に欠航する方針であることが分かった。
中国東方航空の関係者によると、12月22日から2026年2月末までの間、上海と日本を結ぶ航空路線のうち、札幌、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、那覇を除く便をすべて欠航するという。
新潟、富山、小松、静岡、岡山、長崎、鹿児島便が欠航の対象になる。2月の春節の大型連休期間とも重なることから、日本の観光業だけでなく、中国東方航空の業績にも影響する可能性がある。
中国政府は、11月の高市首相による台湾有事に関する国会答弁を受け、日本への渡航自粛を呼びかけており、今回の措置もその影響を受けたものとみられる。
長崎県によると、11月25日、中国東方航空から12月12日と15日の2往復4便を欠航するとの連絡があった。さらに10日、22日、26日、29日の往復便あわせて6便も欠航すると通知があったという。
欠航の理由について航空会社から具体的な説明はなく、来年以降の運航についても不明としている。中国東方航空は2023年10月に長崎線の運航を再開し、毎週月曜と金曜に往復2便を運航してきた。
岡山県によると、12月9日、岡山―上海線を運航する中国東方航空から、12月16日から12月末までの全便を欠航するとの連絡があったという。岡山―上海線は現在、週5往復を運航している。1月以降の運航については、県は確認できておらず不明としている。
小松―上海便を運航する中国東方航空は、12月22日から29日までの期間に5往復を運休すると決定した。
鹿児島―上海線は毎週火曜と土曜に1往復ずつ運航しており、県によると、新たに運休が決まったのは12月23日、27日、30日の便である。上海線はすでに来年1月も4日間の運休が決まっている。
富山県によると、運航会社の中国東方航空から12月23日から31日までのあわせて5往復を欠航するとの連絡があり、年内の欠航はこれで6往復となった。欠航の理由について、中国東方航空の金沢支店は「市場の問題」と説明している。
仙台と香港を結ぶグレーターベイ航空(大湾区航空)は、日中関係の悪化に伴い、2026年3月中旬から3月末まで運休することを明らかにした。
グレーターベイ航空は昨年12月、13年ぶりとなる仙台空港の定期便を復活させ、週4往復で仙台と香港を結んできた。
また、仙台と上海を結ぶ中国国際航空も、12月16日から来年3月28日まで、すべての便を運休することを決めた。
沖縄県は12月12日、中国政府の訪日自粛の呼びかけを受けた県内への影響について、同日正午時点のまとめを発表した。航空路線では、厦門航空に続き、中国国際航空の那覇―北京路線で、週2便の冬ダイヤが全便欠航となった。中国東方航空(那覇―上海)の欠航便も増え、1月末までに計30便が欠航する。クルーズやMICE分野でも影響が広がり、来年1月14日に香港から那覇、石垣に寄港予定だった1隻がキャンセルされた。11月から1月の総計では、那覇、宮古、石垣で18回の寄港取りやめが発生している。
また、上海と神戸・大阪を結ぶ国際フェリー「鑑真号」を運航する日中国際フェリーは12月8日、鑑真号による旅客サービスを当面中断すると発表した。同社は中断の理由について、「中国側の申し入れで、乗客の渡航の安全が確保できない」と説明した。
「鑑真号」には思い入れのある日本人も多く、SNSでは、かつて乗船した人たちから「残念」「つらい」といった声が上がっている。「鑑真号」はコロナ禍の際に運航を中断し、今年6月に5年半ぶりに再開したばかりだった。
日中国際フェリーのホームページによると、鑑真号は大阪と神戸に交互に月曜日に入港し、火曜日に出航、上海には木曜日に到着する2泊3日の航程で運航されている。船内にはデラックススイートルーム、デラックスルーム、和室などがあり、和室(8人部屋)の片道運賃は2万5000円となっている。
(中国経済新聞)
