中国、上半期におけるデジタル消費、家計消費の約半分を占める

2025/12/19 18:30

中国互聯網情報センター(CNNIC)政策・国際協力研究所がこのほど発表した『デジタル消費発展報告(2025)』によると、2025年上半期における中国のデジタル消費規模は 9兆3700億元(約197兆円) に達し、住民の消費支出総額の 46.5% を占めた。商品、サービス、コンテンツを基盤とするデジタル消費が、消費拡大を牽引する中核的存在になりつつあることが浮き彫りになった。

デジタル消費は、政策による後押し、供給側の高度化、そして超巨大市場という三つの要素が相互に作用することで、消費の裾野を広げ、新たな消費の原動力として定着しつつある。今回の報告は、全国31省・自治区・直轄市の住民約3万人を対象とした電話調査データを基に、「規模」「消費主体」「消費意識」「注目分野」「利用シーン」という五つの視点から、デジタル消費の動向を体系的に分析している。

報告によると、2025年6月時点で中国のデジタル消費利用者数は 9億5800万人 を突破した。このうち、いわゆる Z世代 は 2億6100万人(27.2%) を占め、スマート製品やデジタルコンテンツ、感情的満足を重視する「体験・共感型消費」の中心的な担い手となっている。一方、60歳以上の高齢者層 も 1億1700万人(12.2%) に達し、デジタル消費への参加が着実に広がっている。さらに、農村部のデジタル消費利用者 は 2億4900万人(26.0%) に上り、オンラインでの消費補助制度への参加率は都市部とほぼ同水準となっている。

分野別に見ると、スマート家電、デジタル機器、ウェアラブル端末などの スマート製品 が消費を牽引しており、上半期にこれらを購入した人は、インターネット利用者全体の 39.1% に達した。また、ブラインドボックスやIPキャラクター関連商品、アニメ・ゲーム関連商品といった トレンド玩具(キャラクター・サブカル商品) の消費も拡大し、購入経験者は 8.2% を占めている。

消費シーンの広がりも顕著だ。上半期には、オンライン旅行予約、交通・移動サービス、デジタル文化・エンターテインメントを含む デジタル観光・移動分野 の消費額が 1兆元超(約21兆円超) に達したほか、飲食のオンライン宅配サービス の消費額も 1兆元(約21兆円) を突破した。さらに、オンライン医療、オンライン教育、家事代行などの生活関連デジタルサービス の消費額も 5000億元超(約10.5兆円超) に上っている。

報告は今後の見通しとして、デジタル消費が 人工知能(AI)技術革命 と グローバル化の構造転換 が交差する重要な局面にあると指摘する。「AI×消費」という新たなモデルは大きな潜在力を秘めており、供給側ではAI搭載端末の開発加速や、利用シーンに即したスマートサービスの高度化を通じて、質の高いデジタル消費の提供能力が一段と高まるとみられる。今後は、より多くのスマート端末がデジタル消費の入口となり、多様な消費データが柔軟な生産体制や迅速な市場対応を後押しする見通しだ。

また、企業はAIなどのデジタル技術を活用し、高度な生産計画システムやスマート物流体制 の構築を進めるとともに、「越境ECと産業集積地の連携」を強化することで、スマート製造を基盤とした製品の海外展開や、現地ニーズに即した精緻な供給を実現していく可能性が高いと、報告は結論付けている。

(中国経済新聞)