フランスのエマニュエル・マクロン大統領は3日、3日間の国賓訪問のため北京に到着した。訪中は約2年半ぶりで、国賓としては今回が4度目となる。昨年、習近平国家主席が中仏国交樹立60周年を記念してフランスを公式訪問したことへの“返礼”の意味も込められている。

到着後、マクロン大統領とブリジット夫人は赤じゅうたんを歩いて機体を降り、王毅外相(中共中央政治局委員)が出迎えた。マクロン氏は「温かい歓迎に感謝するとともに、これから共に進める協力を楽しみにしている」と語った。

習主席との会談では、変化の局面を迎える中仏関係の今後の方向性や国際・地域情勢について幅広く意見交換する予定だ。
6閣僚と35人の企業トップが同行 大型代表団が示す協力分野の優先度
フランス政府が公表した訪中代表団リストによると、今回は外務、経済、農業、環境、高等教育、文化の6閣僚に加え、空客(エアバス)、フランス電力(EDF)、ダノンなど大企業から中小企業まで35人のCEOが同行する。総勢は80名を超え、今回の訪中が経済協力の強化に主眼を置いていることが明確に表れている。
エリゼ宮は、「ヨーロッパが中国にとって重要なパートナーであることを確保する」ことが重要な目的だと説明している。欧州メディアによれば、2026年初頭には英国のスターマー首相、ドイツのメルツ首相も相次いで訪中する予定で、中国と欧州主要国の高官往来が一段と活発化する見通しだ。
マクロン氏は北京に続き成都を訪問する予定で、フランス大統領府は「地方での視察を重視している」と説明している。新型コロナやウクライナ危機で国際秩序が揺らぐ中、より非公式で率直な対話を通じて中国との信頼を取り戻し、両国間の溝を埋めたいという思惑があるとみられる。
エネルギー協力が最重要テーマ EDFは中国の原子力建設速度を“手本”に
代表団の顔ぶれからは、エネルギー分野の協力が今回の主要議題となることがうかがえる。国有エネルギー大手のフランス電力(EDF)は国内での原子力発電所建設を加速させる方針で、中国の建設スピードを“モデルケース”として注視しているとされる。
パリ側は、訪中期間中にエネルギー協力に関する協定の署名を目指しているという。農食分野でも進展に期待 豚肉副産物の対中輸出拡大を狙う農業・食品分野も今回の訪中で重要テーマになる見込みだ。
仏経済紙『レゼコー』によると、フランス豚肉業界は豚胃や豚腸など副産物の対中輸出拡大に強い関心を抱いている。フランスでは「豚に捨てるところなし」と言われるものの、内臓類の国内需要は限られており、需要の大きい中国市場への輸出は業界にとって大きなビジネス機会となる。
『南華早報』も、肉類や乳製品の関係者が代表団に多数参加していることを踏まえ、「農食協力は主要テーマになる」と報じている。
パンダ外交にも注目 成都訪問で新たな貸与合意の可能性
代表団には、フランス・ボワル動物園のドロー園長も参加している。同園で飼育されていた大熊猫「歓歓」と「円仔」は11月25日に中国へ返還されたばかりで、マクロン氏の成都訪問に合わせて、新たなパンダ貸与の合意が成立するのではないかとの見方も出ている。
空客(エアバス)幹部も同行も、航空機購入合意は未確定
空客(エアバス)の幹部も代表団に含まれているが、航空機購入に関する新たな契約が結ばれるかどうかは不透明だ。今回の代表団の構成を見る限り、航空分野よりもエネルギーや農食など、より広範な経済協力に重点が置かれているとみられる。
(中国経済新聞)
