中国国家統計局が10月20日に発表した最新データによると、9月の全国住宅市場は回復の兆しを見せ、新築および中古住宅の販売価格の前年比下落幅が前月からさらに縮小した。一線都市を中心に価格上昇の動きも確認され、市場の底入れが近づいているとの見方が強まっている。
同局の報告書によれば、9月の一線都市(北京、上海、広州、深圳)の新築商品住宅販売価格は前年同月比で0.7%下落したが、前月の下落幅1.0%から0.2ポイント縮小した。特に上海では5.6%の上昇を記録し、都市部の需要回復を象徴する結果となった。一方、北京、広州、深圳はそれぞれ2.6%、4.1%、1.8%の下落となったが、いずれも前月比で改善を示した。
二線都市の新築商品住宅販売価格は前年比2.1%下落、前月から0.3ポイントの縮小。三線都市も3.4%下落で同0.3ポイントの改善となった。これにより、全国全体の新築住宅市場は下落圧力が和らぎ、政策効果の表れとして注目されている。
中古住宅市場でも同様の傾向が見られた。一線都市の中古住宅販売価格は前年比3.2%下落、前月から0.3ポイント縮小。北京、上海、広州、深圳はそれぞれ2.7%、2.4%、6.0%、1.7%の下落となったが、広州を除く都市で下落幅の緩和が確認された。二線都市は5.0%下落(前月比0.2ポイント縮小)、三線都市は5.7%下落(同0.3ポイント縮小)で、全体として安定化の兆候がうかがえる。
国家統計局の担当者は、「最近の金融緩和政策や不動産規制の緩和が市場に好影響を与えており、需要の回復が徐々に進んでいる」と分析。一方で、「下落幅の完全な解消には時間を要する可能性があり、さらなる支援策の継続が重要」と慎重な姿勢を示した。
中国の住宅市場は、2021年以降の規制強化により深刻な低迷に陥っていたが、今年に入り政府が住宅ローンの利下げや購入制限の緩和を相次いで実施。9月のデータは、これらの施策が実を結び始めていることを示唆する。市場関係者は、「上海の上昇が他都市への波及効果を生む可能性があり、年末に向けた回復加速が期待される」との見方を展開している。
(中国経済新聞)