2025年「以旧換新」国家補助金、早期完了・12月31日正式閉鎖へ

2025/10/17 07:30

中国の消費刺激政策として注目を集めてきた「以旧換新(買い替えキャンペーン)」制度が、2025年に入り、資金の早期枯渇により終了の兆しを見せている。10月時点で第四弾の690億元(約1兆3,800億円)の国家補助金が全面的に下達され、これにより年間3,000億元の総額がすべて配分された。公式通知によると、全国の補助金申請チャネルは12月31日24時をもって一律閉鎖される。河南、湖南、山東などの消費が激しい地域では、12月中旬に前倒しで終了する可能性が高い。2026年の国家補助政策については公式発表がないものの、資金投入のペースと地方の額面緊張から、2年間続いたこの政策が正式に撤退する公算が大きい。

振り返れば、2025年の国家補助金の執行状況は、予想をはるかに上回る速さで進んだ。前2弾の1,620億元は1月から5月にかけて70%が消費され、重慶や広東などの消費大省では6月前に額面が尽きた。ある品類では「開始5分で額面ゼロ」の「争奪戦」が発生したほどだ。第三弾の690億元は7月末に投入されたが、9月上旬までに多くの地域で申請が一時停止された。こうした圧力を緩和するため、上海や杭州などの都市では9月から「申込+公証抽選」メカニズムを導入し、公平性を確保した。

この政策は、2024年に始まった「家電・自動車・デジタル機器の旧品交換新品」促進策の延長線上で、消費活性化を目的に実施された。補助対象は家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)から自動車、携帯電話、タブレットまで拡大し、旧品回収と新品購入時の補助金(例:家電で最大20%、自動車で最大2万元)を組み合わせる。2025年はさらに加力され、対象品目を8類から12類に増やし、財政部が810億元を事前下達するなど、規模を拡大した(国家発展改革委員会・財政部通知、2025年1月)。これにより、消費者の買い替え意欲を刺激し、経済成長の起爆剤となった。

しかし、資金の急速な消耗は、政策の成功を物語る一方で、課題も露呈した。中国の消費市場は、都市部の高所得層を中心に回復基調をたどっているが、地方格差やインフレ圧力から、補助金依存の側面が強まった。北京や上海では、自動車の「以旧換新」補助が2025年1月1日から2026年1月10日まで延長されたが(北京地方宝情報)、全国レベルでは12月末の閉鎖が決定づけられた。地方自治体は独自の補助を検討中だが、国家レベルの撤退は、消費市場の自立性を試す試金石となるだろう。

2026年以降の展望は不透明だ。公式には未発表だが、資金投入のリズムから見て、継続は難しそうだ。一方で、民間セクターのイノベーションや地方主導の奨励策が新たな消費ブームを起こす可能性もある。中国経済の「内需主導」転換の中で、「以旧換新」は一時的な成功例として歴史に刻まれるだろう。消費者にとっては、残り数カ月の申請ラッシュがラストチャンス。早期の買い替えを検討する価値はある。

(中国経済新聞)