DJI、異例の値下げが論議招く 新製品登場、あるいは競争の激化への対応か

2025/10/11 11:30

これまで値段を安定させていたDJIが最近、複数の主力製品を値下げするという異例の動きを見せた。Osmo Pocket 3のスタンダードタイプは3499元から2799元へ、フルセットタイプ4499元から3599元へと、値引き額は700~900元にのぼった。この情報が伝わって売上も好調となり、深センのある店の販売員は「今日はよく売れた。とても忙しかった」と言っている。

ところが、こうした動きに不満も上がっている。高値で製品を買った人の間から、「オンラインでは購入後7日以内に値下がりした場合は差額を返金するという制度があるが、実店舗ではそれができないことが多い」との声が多く、公式ルートを通じて差額の支払いや返金を求める人もいる。

DJIは値下げの理由について、「『独身の日セール』に向けた恒例のキャンペーンであり、チャネルを通じて説明済み」と答えている。ただし販売員によると、このところ久しくキャンペーンをしておらず今回のケースはかなり急だとのことで、「国慶節の連休中に購入した人には差額分を返金している」と話している。

この値下げについて、単なるキャンペーンではなく他社との競争や製品の更新期間の問題により実施したものと見られている。様々な情報から、「映像の解像度が6K/8Kで大型の画面を備え、ズーム機能が改良したと思われる新製品のOsmo Pocket 4が発表間近であって、従来品の在庫整理のための値下げではないか」との見方も出ている。

また一方、スマホメーカーとの競争も次第に白熱化している。OPPOなどは、DJIやGoProをターゲットに「手持ち撮影デバイス」の開発を始めており、2026年に新製品を打ち出す予定である。業界関係者によると、スマホメーカーは映像のアルゴリズムやセンサー、チャネル、ユーザー資源といった面で優位に立ち、ゼロからの体制づくりが不要なので、DJIにとっては手ごわい存在になりそうだという。

Osmo Pocket 3は、2023年10月の発売時から好調を維持している。ピーク時には品切れするなど「社会現象」とまで言われ、すでに1000万台以上が売れたと見られている。好調の理由はポータブルでありながら画質が優れていることで、DJIはセンサーを1インチまで縮小するために内部のレンズや光学、アルゴリズムなどの各担当メンバーを統合した上、ドローンで積み重ねたヘッド安定化技術を備えているので、手持撮影機器についてはほぼ無敵状態である。

ただし、こうした技術メリットは永続するものでもない。スマホの撮影技術も急速に進歩しており、AIの手ブレ防止やアルゴリズムの改良も進み、従来のヘッド型製品の独自性も薄れている。業界内では、手持ち撮影デバイスは今後、「ハード志向」から「エコロジー競争」へと変わり、撮影性能だけでなくコンテンツの制作やアプリ連携、製品エコロジーといった面で競い合うことになると見られている。

DJIの今回の値下げは、間違いなく反応的な動きである。製品の更新や他業種との競争を前に、イノベーションを続けて市場での地位を固めるにはどうすべきか。技術をバックに撮影機器業界を塗り替えた同社の実効力が問われることになりそうである。

(中国経済新聞)