中国政府、希土類関連技術の輸出規制を発表

2025/10/10 12:30

中国商務部の報道官は10月9日、希土類(レアアース)関連技術の輸出規制を強化する方針を発表した。この措置は、国家安全保障と利益の保護、国際的な不拡散義務の履行、グローバルな希土類サプライチェーンの安定確保を目的としている。中国政府のこの決定は、戦略的鉱物の不正輸出防止と国際平和への貢献を強調するものだ。

商務部の発表によると、今年に入り、国家輸出管理作業調整機制弁公室は、戦略的鉱物の密輸輸出を取り締まる特別行動を展開し、顕著な成果を上げた。一方で、一部の海外組織や個人が中国から希土類関連技術を不正に取得し、これを利用して軍事など敏感分野向けの製品を製造・供給したり、軍事用途に転用したりしていることが判明。これらの行為は、中国の国家安全保障と利益に重大な損害または潜在的脅威をもたらし、国際平和と安定に悪影響を及ぼすと判断された。

この状況を受け、中国政府は慎重な評価を経て、希土類関連技術の輸出規制を実施することを決定。併せて、国内の組織や個人が関連活動に従事する際の明確な規定を設けた。この規制は、希土類技術の不正流出を防ぎ、国家安全保障を強化すると同時に、グローバルな希土類産業のサプライチェーン安定を保障する狙いがある。商務部報道官は、「中国は国際社会の責任ある一員として、不拡散義務を確実に履行し、国際平和に貢献する」と強調した。

希土類は、電気自動車、風力発電、軍事装備、スマートフォンなどのハイテク産業に不可欠な素材であり、中国は世界の希土類供給の約60%を占める主要生産国だ。今回の輸出規制は、技術流出による軍事利用リスクを抑える一方で、国際市場での希土類供給の安定性にも配慮した措置とされる。専門家は、これにより中国がグローバルサプライチェーンでの主導権をさらに強めると分析する。

一方、規制強化が国際市場に与える影響も注目される。日本の経済産業省のデータでは、日本は希土類の約30%を中国に依存しており、半導体や電池産業への影響が懸念される。商務部は、「正当な貿易ニーズには応えるが、国家安全保障を最優先する」との立場を明確にした。

(中国経済新聞)