11月24日、半導体大手の米エヌビディアの創業者であるジェンスン・ファンCEOが、香港の深水埗の食堂で、香港政府の陳茂波(ポール・チャン)財政長官、アカデミー会員である香港科技大学の葉玉如(ナンシー・イップ)学長、同大学理事会の瀋向洋会長、セコイア・キャピタルの瀋南鵬氏ら十数人とともにビールを飲んでいる写真がネットに掲載された。
ファンCEOは今回、香港科技大学から名誉博士の称号を受けるために香港を訪れていた。食堂でテーブルを囲んでいた十数人の「陣容」を見ると、いずれも中華系であって、世界的な実業界や現地の大学教授、海外経験のある大学教授もいた。ファンCEOは香港のテクノロジー業界との関係を深めた模様である。
ファンCEOは、香港科技大学を「中国のMIT」と称したほか、香港・マカオ・広東省一帯のグレーターベイエリアについて「機械の技術とデジタル技術が一体化するのに大変有利な場所」と述べている。さらに香港科技大学について、AIとデータサイエンスのトップ級研究機関で世界のAI研究に多大な貢献を果たしているとした上、イノベーションや創業について抜群の結果を残し、グレーターベイエリアで創業という土壌を十分に根付かせたとも述べた。
今回ファンCEOは、中国本土へも訪問するのかなど、香港を去った後の行動も注目されている。地政学的な問題が悪化した中でも中国事業を存続させるというファンCEOは、「中国はAIについて独自のメリットを抱えている。特にグレーターベイエリアは将来性が抜群であり、中国にとって最高のチャンスだ」と述べている。
ファンCEOはここ1か月近く、AIインフラの整備に向けてアジア各地を歴訪している。つい10日前には日本で開催されたエヌビディアのサミットで、ソフトバンクの立ち上げ人である孫正義会長と兄弟同然の対話をした。10年前に孫会長がエヌビディアへの投資の機会を逸したことにも触れ、「今度AIがさらに大きく普及した際に連携を強化し、日本最大のAI工場を打ち立てよう」と約束した。
ファンCEOは先月インドで行われたエヌビディアのAIサミットで、アジアの長者番付NO.1であるリライアンス・インダストリーズのムケシュ・アンバニ会長とともに、インドでのAIインフラの整備計画について話し合った。ファンCEOは、インドでのエヌビディアの計算力は1年前より20倍近く伸びたと見ている。
(中国経済新聞)