第37回東京国際映画祭、ハンガリーの映画監督タル・ベーラ氏に特別功労賞授与決定

2024/10/24 11:30

東京国際映画祭は、永年の国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい方々へ贈る“特別功労賞”を、ハンガリーの映画監督、タル・ベーラ氏に授与することを決定いたしました。

タル・ベーラ氏は、1994 年に 7 時間越えの『サタンタンゴ』で第 44 回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で独創的な作品に贈られるカリガリ賞を受賞し、2000 年に『ヴェルクマイスター・ハーモニー』が第 53 回カンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、2011 年『ニーチェの馬』で第 61 回ベルリン国際映画祭銀熊賞 (審査員グランプリ)と国際批評家連盟賞を W 受賞するも、監督としてはこれが最後の作品となり、以降はサラエボに映画学校を創設するなどして、後進の育成に取り組んできていました。今年の東京国際映画祭でも「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト×東京国際映画祭 2024~巨匠タル・ベーラとみる福島浜通り~」と称して、今年の 2 月に福島で行ったワークショップで制作された映画の上映とトークイベントのために来日が予定されています。特別功労賞の授与は 11 月 1 日(金)に予定されている「タル・ベーラ×山田洋次特別鼎談 ~タル・ベーラ監督 TIFF 特別功労賞受賞記念~」(会場:東京ミッドタウン日比谷1階LEXUS MEETS…)イベントの中で行われる予定です。

■東京国際映画祭プログラミング・ディレクター市山尚三コメント

1995 年の東京国際映画祭でタル・ベーラの『サタンタンゴ』が上映されたことはひとつの事件でした。7 時間半という上映時間もさることながら、既成の映画言語に挑戦する独特のスタイルは、シアターコクーンに駆けつけた観客たちを圧倒しました。2011 年、傑作『ニーチェの馬』を監督した後に発したあまりにも早すぎる引退宣言は世界を驚かせましたが、その後のベーラは、サラエボに開設した映画学校 film.factory をはじめ世界各地でワークショップを開催し、多くの若手映画作家たちを導き、勇気を与えてきました。東京国際映画祭は、映画監督として、そして教育者として世界の映画界に多大に貢献してきた功績に対し、タル・ベーラに特別功労賞を授与いたします。

■タル・ベーラ氏プロフィール

1955 年、ハンガリー生まれ。デビュー作『ファミリー・ネスト』(77)はハンガリー批評家賞新人監督賞、マンハイム国際映画祭でグランプリ受賞。1994 年発表の『サタンタンゴ』はベルリン映画祭フォーラム部門カリガリ賞を受賞。その後の主な作品に『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(00)、ジョルジュ・シムノン原作『倫敦から来た男』(07)など。2011 年発表の引退宣言作『ニーチェの馬』はベルリン映画祭銀熊賞と国際批評家連盟賞を受賞。1990 年以降、ベルリン・フィルム・アカデミーの客員教授を務め、2012 年にサラエボに映画学校 film.factory を創設。2016 年の閉鎖後も世界各地でワークショップやマスタークラスを行い、後進の育成に取り組む。2023 年、ヨーロッパ・フィルム・アカデミー名誉賞を授与される。

(中国経済新聞)