中国不動産大手の中国恒大(以下「恒大」)は8月5日夜、創業者である許家印氏も含め計7人の被告に対し、支払い済みである約60億ドル(約8744億円)の配当金と報酬の回収を命じていると発表した。
今年3月22日、恒大の清算担当である香港高等裁判所が許氏、恒大の元最高経営責任者である夏海鈞(Xia Haijun)氏、同じく元最高財務責任者の潘大栄(Pan Darong)氏の3人を相手取り訴訟を起こし、のちに許氏の元の妻の丁玉梅(Ding Yumei)氏、許氏および丁氏と関わりのある3者も順次被告に加えられた。恒大はこの中で7人に対し、2017年12月31日から2020年12月31日までの各会計年度の財務諸表を元に、支払った配当金および報酬あわせて約60億ドル(約8744億円)の回収を命じている。
恒大の清算は恒大の名義で、今回の訴訟における請求に基づき、許氏、丁氏、夏氏に対し、国内外の価値を処分したり売却したり削減したりする際に限度額を超えてはならないと指示した。この指示は2024年6月24日にまず許氏と夏氏に対して発せられ、のちに丁氏も対象とした。訴訟に関わる令状や香港の禁止令について、香港高裁はこれまで守秘義務を課していたが、2024年8月2日付で守秘義務は解除されている。
清算担当によると、訴訟は現在、法的プロセスが進められており、現在は請求が認められる可能性や恒大から最終的に回収しうる金額は定かではないという。これまでの情報によると、許氏は2023年9月に犯罪行為をしたとして強制措置を取られている。今年3月には中国国内にある恒大の主力会社「恒大地産」が、決算報告の改ざんや債券発行時に詐欺行為をしたとして、許氏、夏氏、潘氏など複数の幹部に対し証券監督管理委員会から警告が下された上、4700万元-300万元(約9.6億円~6115万円)の罰金を科せられている。
さらに、許氏は改ざんを決定し実行させ、夏氏は虚假の決算報告作成の中心人物となったことから、いずれも証券市場からの永久追放を命じられ、潘氏は10年間にわたり証券市場への参入が禁止となった。許氏はまた今年6月、53億元(約1080億円)の債務不履行により香港高裁で起訴されており、債権者が香港にある許氏の不動産を担保とし売却するようにとの申し出をしている。
恒大株は今年1月29日午前10時18分から売買停止が続いており、今でも「取引再開の時期は別途連絡」との状態である。
(中国経済新聞)