中国の飲料水大手「ワハハグループ」は7月22日夜、創業者の宗慶後氏の1人娘である宗馥莉副会長兼総経理に引き続き経営トップを委ねると決定する声明を発表した。会社を健全に安定成長させるために株主と話し合った結果とのことである。また、「目を向けてくれた社会やメディアに感謝し、迷惑をかけたことを申し訳なく思う」とも表明している。
ワハハは、数日前にネットで掲載された「全従業員へのメッセージ」で、7月15日に宗馥莉氏がトップ辞任を申し出ていたことがわかった。「杭州市上城区人民政府および杭州ワハハグループの株主の一部が、宗慶後会長の死去後に自分が跡継ぎとなることに意義を唱えたため、グループおよび子会社を引き続きマネジメントすることができなくなった」との理由を挙げている。
ワハハのこうしたトラブルは、株式や経営権が複雑化していることの表れである。中国の国家企業信用情報によると、ワハハに対する持ち株構成は、「中国国有資産」である杭州上城文商旅投資が46%、宗慶後氏個人が29.4%、杭州ワハハグループ労働組合連合委員会(社員持株会)が24.6%となっている。
創業者の宗慶後氏(右)と1人娘である宗馥莉副会長
危機広報の専門家で福州公孫策広報のパートナーである詹軍豪氏は、ワハハの声明について「ネットでの騒ぎが大きくなったことを受けてものだ」と見ている。今のビジネス環境では、ネットでのコメントによる影響がどんどんと大きくなり、消費者の購入決定を左右するばかりか企業の意思決定への間接的な重圧となっている。宗馥莉氏が後継者となることについてはかなりの論議を呼んでいたことから、会社の安定成長を前提として決定内容における影響度合いを株主が改めて評価した可能性が強いと見られる。
中国は2023年、飲料市場全体の中で、ボトル入り飲料水の割合は35.6%、茶系が18.7%となっている。ボトル入り飲料水についてシェア上位3社は「農夫山泉」、「怡宝」、「景田」で、ワハハはおよそ9.9%でトップグループから脱落し4位となった。
このように飲料水では伸び悩んでいるワハハだが、それ以外の飲料ではかなりのシェアを維持している。栄養快線、桂圓八宝粥、ADカルシウムミルクなどの各種商品を、スーパーなど小売店や酒・たばこ店などで売りさばいている。
(中国経済新聞)