中国の大手労働市場調査会社「Mycos(マイコス)」がこのほど発表した2024年版の雇用白書によると、2023年の新卒採用者の平均月収は、大学の学部卒が6050元(約13.13万円)、高等職業技術学校卒が4683元(約10.16万円)で、前年(大卒5990元=約12.99万円、高等職業技術学校卒4595元=約9.97万円)よりやや上昇している。
また卒業半年後の平均月収を見ると、6000元(約13万円)以下の割合は大卒が57.8%、高等職業技術学校卒が81.7%で、6000~8000元(13万~17万円)はそれぞれ23.9%と12.1%、8000元(約17万円)以上は同じく18.3%、6.2%であった。また大卒で10000元以上(約21.7万円以上)はわずか7.0%であった。
月収の高さを学科別に見ると、大卒の場合は情報セキュリティー関連がトップで、2位~10位はマイクロ電子科学・工程、ソフトウェア工程、データ科学・ビッグデータ技術、電子科学・技術、IOT工程、スマート科学・技術,光電子情報科学・工程,電子情報科学・技術、機械電子工程となっている。この中で、データ科学・ビッグデータ技術とスマート科学・技術はAIと深い関わりがあり、新手でありながらつぶしの利く学科となっている。
高等職業技術学校卒では、鉄道機関車の学科がトップであり、サービスAIや製造業改良の産業ロボット技術、機械電力一体化技術、スマート制御技術なども給与は高めである。
中国はこのところ、大学の学科について頻繁に手を加えている。教育省は今年3月19日、2023年度の一般大学の学科の登録および審査の結果を発表し、さらに2024年の登録学科一覧を発表した。今回は新設、廃止、変更が合わせて過去最多となる3389件にのぼり、このうち新設と変更が1719件、学校側に廃止を求めたのが1670件となっている。
教育省など政府5部門は2023年2月に「普通高等教育の学科設立の調整や改善の改革案」を発表し、2025年までに、大学の学科のうち20%前後を見直し対象とし、新しい技術や産業、事業形態、モデルに適した学科を設ける一方で、経済や社会にアンマッチな学科を廃止するとの方針を打ち出した。
「マイコス」は今回の白書で、「大学受験の際に、国の政策に見合い、新興産業と関わりの深い学科に目を向け、業界や国の政策、新興産業への知見を基に、自分の興味や志向、スキルも勘案した上で志望届を出すことが望ましい」とアドバイスしている。
(中国経済新聞)