配車アプリ「ディディ」、創業メンバーの柳氏が永久パートナーに昇格 「総裁」は廃止

2024/05/22 07:30

中国の配車サービス大手「ディディ」は、創業者で社長兼CEOである程維(Chen Wei)氏と、創業メンバーの1人である柳青氏が5月19日午後、全社員にメールを送る形で、柳氏を永久パートナーとした上で取締役や総裁を解任し、総裁を廃止すると程氏が決定したと発表した。柳氏の担当部署や職務は現状通りで、最高人事責任者に留任し、引き続き程氏のもとで人事や組織構成、CSRを手掛ける。

公開情報によると、柳氏は1978年生まれで、2000年に北京大学の情報処理系を卒業し、2002年にハーバード大学で修士課程を修了し、ゴールドマンサックスアジア法人に入社した。2014年7月にディディに入社して翌2015年に総裁となり、程氏に次ぐ存在として会社を支えている。

柳氏はこれまでディディで、戦略、融資、国際化などで活躍しており、特に融資については2014年に7億ドル(約1089億円)、2015年に20億ドル(約3113億円)、2016年に45億ドル(約7004億円)と3回にわたり大型案件を成し遂げた。また「快的打車」との合併やUber中国法人の買収といった主要案件も手掛け、会社が成長する中で重要な融資事業をリードしてきた。

程氏は柳氏に総裁を辞任させたことについて、「同じ創業メンバーであり、最も親しい戦友、パートナーで、これからもそうだ。よってJean(柳氏)を永久パートナーに昇格させると決めた」と述べた。柳氏は今後も程氏の配下に置かれる。

程氏はまた、「Jeanは総裁を辞任するが、担当部署や職務は現状通りで最高人事責任者を継続し、組織改革や人材養成を手掛けるほか、私とともにCSR関連の仕事も行う」と言った。「それと、会社として『総裁』は廃止する」とも述べた。

今年3月23日に発表されたディディの2023年1年間の業績を見ると、売上高は前年比36.6%増の1924億元(約4.14兆円)、純利益は5億元(約108億円)で、調整後(EBITA)の赤字額は22億元(約473億円)であった。売上高のうち中国国内のモビリティー事業は前年比39%増の1750億元(約3.77兆円)、海外のモビリティーは33.8%増の78億元(約1679億円)であった。

程氏は、「2023年はモビリティー需要が伸びたおかげで事業が健全に成長し、効率化が進んだ。今後についても十分に自信がある。2024 年に入っても本業に力を入れ、国内外で事業を健全に成長させ、技術、商品、サービスのイノベーションを起こし、乗客や運転手、パートナー関係をより大切にする」と述べている。

(中国経済新聞)