宮崎駿氏の新作映画「君たちはどう生きるか」の興行収入について、中国本土が日本を超え、国別で世界最大となった。さらには今年の清明節枠の各作品中でもトップになり、現段階で5.34億元(約112億円)となっている。
中国ではこのところ、日本のアニメ映画が軒並みヒット作品となっており、国産アニメの普及が伸び悩んでいる中でかなりのシェアを占めている。
日本のアニメについて中国では、1980年12月にCCTVで放映された「鉄腕アトム」が皮切りとなり、一般のテレビやケーブルテレビが普及していった1980~90年代に連続アニメ番組が盛んに放映されるようになった。
また日本のアニメ映画については、2023年に「すずめの戸締まり」が中国で過去最高となる興収8億元(約168億円)を記録したほか、「スラムダンク」が6.6 億元(約138億円)を売り上げた。2019年に再放映された「千と千尋の神隠し」は4.88 億元(約102億円)で、その前の2015年には「STAND BY ME ドラえもん」が5億元(約105億円)以上をマークしている。
中央文化観光管理幹部学院の副研究員である孫佳山氏は、中国での日本アニメの放映について、「20年余りで少なくとも2世代が様々な作品を見ている。かつての『鉄腕アトム』から『ドラえもん』、さらには『スラムダンク』まで、ほぼ全土で地域を問わず共通の文化となった」と分析している。のちにインターネットが普及したことで、宮崎氏のアニメ映画は上映されなくなったがインターネットで見られるようになった。
孫氏は、「30年近い間、昔のラジオやテレビ、それにケーブルテレビから、PCやインターネットまで、様々な日本のアニメが少なくとも2世代で視聴層となった。それと、日本アニメは欧米のものに比べ、文化的に中国の視聴者により近いものであり、中国にはなかったアニメ映画を生んだ上、中国ではこのようなエンタメ需要がかねてから存在していた」と述べている。
また、若手劇作家で監督である向凱氏は、「日本のアニメは歴史が長く、アニメ産業も整っており、大ヒットした映画作品もある。子供だけでなく大人の愛好者もかなり多い」と見ている。また中国は日本から学ぶべき技術もあり、アニメ産業も成長の途上で、膨大なファン層を抱えているという。
(中国経済新聞)