アリババの創業メンバーの1人である蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏は、ノルウェー政府年金基金が発表したインタビューで、会社の歩んだ道のりを振り返った上、中国市場について分析した。蔡氏は1999年からマネジメントや財務管理の主要ポストを務めたほか、投資案件や買収事業を経験し、通販、クラウドコンピューティング、物流など様々な分野でアリババを成長させてきた。
蔡氏は「アリババはここ数年間、落ち度があった」と率直に言い、消費者こそお客様であるということを忘れ、扱いにくいものになってしまったという。立て直しの一環として呉泳銘(エディー・ウー)氏をCEOに迎え入れたのは、ユーザー中心の商品やサービスに一段と特化するためと見ている。
蔡崇信(ジョセフ・ツァイ)氏
蔡氏は、アリババの最近の改革は過去の落ち度を認めてメンバーを刷新するものであり、また会社の指針を組織構成に取り込むものと強調している。「落ち度は人間性によるものであり、本当に優秀なリーダーは自ら反省し改めるべき人物だ」と指摘した。
蔡氏はまたAIについて、かなりの潜在力があると見ており、特にアリババのクラウド事業については自社開発の大規模言語モデルの重要性を強調した。AIの実用化で主要な分野はEコマースと見ており、アリババの仮想試着ルームや売主が使えるAIツールを例に挙げている。
蔡氏はまた中国の消費市場について、製造業は世界の31%を占めるが消費は14%にとどまっていると指摘した上で、「経済成長により消費者が一段と重要になる。中国は人口の減少など課題を抱えるが、勤勉な国民や良好な教育制度により製造強国の地位を守り続けるだろう」と見ている。
最後に蔡氏は若者向けに、暮らしで成功を収めるために、データサイエンスや心理学など一つや二つの基本スキルを身に着けるようアドバイスした。税の専門家であった経験を元に、「尊重され、成功する上では、専門知識が大切だ」と強調している。
(中国経済新聞)