2020年12月20日、深セン市南山区留仙洞のある土地区画が、京東司法で52.7億元(約1050億円)で売り出されたが、買い手が現れなかった。この土地は2年前に69億元(約1375億円)で買い取られたものであり、不動産市場の不況が如実に示されている。総面積は2.1万平方メートルで、オフィス、商業施設、ホテル、住宅など様々な用途で計29.2万平方メートル分の建設が始まったものの、進捗率わずか5.8%で工事が止まっている。
この区画は、不動産が活況だった2021年5月に47.6億元(約949億円)で公示され、195回にわたる競売の末、竜光房地産が初値から約50%増しの69億元(約1375億円)で手に入れた。竜光集団は当時、「地下鉄にも近く公共交通指向型のTOD案件として期待が持てる」と表明していた。ところが深センのある不動産関係者によると、「販売可能な一般の分譲住宅がなく、初値で買い取っても赤字になる」とのことである。
長引く不動産の不況や資金繰りの問題で、一度に巨額を賄える会社はほとんどなく、引き取り手が現れなかった。これについて、竜光集団の資金問題、および土地が差し押さえ状態にあることが主な理由だと指摘する声がある。中信信託と竜光集団がこの土地をめぐって訴訟を起こしており、北京市第三中級人民裁判所で抵当権は中信信託にありとの判断が下された。元々は竜光信託融資の所有物で融資規模は50億元(約996億円)であったが、竜光集団が元金を期日までに支払えずに違約となってしまったという。
こうした経緯は、不動産市場の不透明性や企業の資金状況を反映したものであり、また高価な土地に対するリスクやそれによる各社の資金への影響も見えている。業界内では、国外債務のリストラを進めている竜光集団が苦境脱出を果たせるか、またそれが疲弊し切った不動産市場にどういった影響を与えるのか、関心が寄せられている。
(中国経済新聞)