中国の医薬業界で汚職摘発活動が続いている。これまでの発表では、2023年8月17日現在で病院の院長、書記あわせて少なくとも179人が調査を受けている。
中国の医療界はここ20年間、巨額の汚職事件の摘発で大揺れが続いている。2010年には広東省珠海市にある9カ所の公立病院の元薬剤科トップがみな収賄で逮捕され、2013年にはグラクソの中国法人が贈賄により罰金30億元を課せられ、2022年にはアストラゼネカの医療保険詐欺に関わった17人が逮捕されている。
中国の医療機関で汚職が発生する理由、およびそれによる医療界全体への影響を探ってみる。
2023年2月に発行された学術刊行誌 「衛生政策と計画」(Health Policy and Planning)で、この問題について考察した北京大学とハーバード大学の共著による論文「中国の医療汚職を知る」(Understanding medical corruption in China: a mixed-methods study)が発表された。
論文は、2013~2019年の裁判資料にある3546件の判例を選び、かつ衛生関係者17人に対して密着取材する形で中国の医療汚職問題を明るみにしている。