近年ハイテク製造業の成長に力を入れ、野心的に中国との競争を展開しているインドが大きな打撃を受けた。
台湾の電子機器メーカー・フォックスコンは7月10日、インドのヴェダンタ(Vedanta)との195億ドル(約2.67兆円)相当の半導体合弁会社から撤退すると発表した。フォックスコンの親会社「鴻海科技集団」が、合弁会社の運営から手を引くと表明している。ただその理由は明らかにしていない。
ブルームバーグは5月30日に、鴻海とVedantaの合弁会社が数10億ドル(数千億円)規模での28ナノメートルのチップ生産に対するインセンティブをインド政府に求めていたが、かねてから政府側の基準を満たしていないと伝えていた。またロイターの情報では、今回のフォックスコンの撤退はインド政府のインセンティブ認可の遅れに対する懸念感が理由という。
フォックスコンがインドに工場を立地した理由は、インド側がチップ産業に対して2021年に100億ドル(約1.38兆円)規模のインセンティブ計画を打ち出し、条件を満たした企業に最高で事業運営費の50%分を支給すると発表したからである。
しかしこの補助金が問題になりそうであり、インドは過去にも支給を約束しながら未払いとなった例がある。2008年に日産とルノーがインドに工場建設をした際、現地政府は様々なインセンティブを約束した。しかし日産は2016年にインド政府を相手取り、未払いのインセンティブ290 億ルピー(約488億円)と損害賠償210億ルピー(約353億円)、利息その他の支払いを求めて国際仲裁裁判所に提訴している。
(中国経済新聞)