2008年5月12日、中国の中西部に位置する四川省アバ・チベット族チャン族自治州をマグニチュード8の大地震が襲った。死者・行方不明者が約8万7000人にも上る未曾有の大災害のなか、1人の少年が救助されたというニュースが中国全土を駆け巡った。
その少年の名は、郎錚(ラン・ジェン)。救出された当時まだ3歳だった彼は、救助隊にタンカーで運ばれる間、敬礼をして助けてもらったことへの感謝を伝えた。その感動的光景がカメラマンに撮られ、中国で連日報道され、悲しみに暮れる社会に一筋の希望を照らした。
それから15年後の今日、18歳になったラン・ジェン君は聡明な青年へと成長した。今年の大学統一入学試験「高考」(普通高等学校招生全国統一考試)では、637点の高得点を獲得。60万7000人以上の受験生が参加した四川省の中で第30位となった。
ラン・ジェン君は、今までに北京大学、人民大学など中国の一流大学からオファーを受け取っており、これから進学先を決めるという。
震災以降、多くのメディアがラン・ジェンの成長を追ってきた。そうした環境のなかでも彼が真っ直ぐに育つことができたのは、感謝という言葉が心にあったからだ。
ラン・ジェン君は2019年の中国建国70周年式典で「将来どこの大学へ入学し、どこの場所へ行っても、常に感謝の気持ちを忘れず、国や社会の役に立つ人間になるため勉学に励み、将来は今までお世話になった全ての人に恩返しがしたい」と語っている。
(中国経済新聞)