中国のデータアプリ「灯塔専業版」によると、11月4日に封切りとなったドラマ映画「林深時見麓」は、興行収入が初日は56元(約1093円)、その後数日間の合計は2.4万元(約47万円)であった。公開資料によると、制作費は3000万元(約5.86億円)以上で、4年前にクランクアップしていた。
映画のあらすじは、耐震設計コンテストで落選した建築科の学生・章佳賢が、自身の成果を実証するために地震の被災地に行ったところ、山に住む老人とその孫娘の巫雲珠に出会い、時とともに2人に親しみを感じていく。そして現地を離れる間際、老人が盗伐者を捕まえようとして足を痛めたことで、このまま残ろうと決意し、お爺さんと孫娘の将来を考えるようになった。
この映画が不評となった理由について、中国芸術研究院の副研究員である孫佳山氏は「極度の不評映画は、売上が好調だった2019年以前にもあった。映画やシネマ業界の『作りすぎ』による産物だ。作りすぎとはつまり、この業界で供給体制の成長の速さ(映画や映画館など)が各年度の売上の伸びを大幅に超えているということだ」と述べている。
また孫氏は、現在の映画市場について、「コロナの影響で、中国だけでなく世界的に制作力が大きく落ち込んでおり、お金をかけた質のよい作品がだいぶ減った。よって、観客向けの設備(スクリーンなど)がふんだんにありながら配給がそれに及ばず、コロナ前から存在していた構造的な問題が一段と拡大している」と突っ込んだ分析をしている。
(中国経済新聞)