国慶節の大型連休、北京郊外の宿泊料は海が望める国外のリゾートホテル並み

2022/10/2 22:00

中国は国慶節に伴う大型連休を迎えたが、北京は他地域への移動の自粛が呼びかけられ、中・高リスクの地域や過去7日以内に感染者が現れた地域への旅行や出張を控えるよう求められている。さらに、他地域へ旅行やドライブをする場合は事前の届け出が必要で、旅行中に感染リスクに見舞われた場合はUターンが出来なくなる。よって、近場のホテルでのレジャーが主流となり、この結果宿泊料が海外旅行並みに値上がりしている。

民宿 大隠于世

北京に住む朱さんは、勤務先に北京から出ないよう命じられたうえ、子供がまだ1歳ということで、連休は家族で郊外に行こうと考えた。1週間前にホテルの値段を検索したところ、密雲区、延慶区、懐柔区といった郊外のファミリー向けホテルはスタンダードルームで4000元(8万円)以上もすることが分かった。シーズンオフは200元あまりの快捷酒店(Quick hotel)も1000元(2万円)以上という有様である。

同程旅行(LY.COM)によると、2022年は北京郊外の宿泊施設は極めて好調で、宿泊料も高騰し、昌平区や房山区は平均価格が去年の同じ時期より30%増しとなっている。

民宿大隠于世の部屋にて

ただし、値段の割には楽しめないとの声が大勢を占めており、「宿代は海南省三亜の五つ星ホテル並みの」とのコメントもある。数年前は100元(2千円)あまりだった宿が今は1000元(2万円)以上もかかる、とのコメントも出ている。

中国旅行協会で宿泊関連部門の代表を務める張暁軍氏は、「北京郊外の宿泊施設は今、予約率も利用率も値段も高くなっているが、それは質がいいからではなく、行楽ニーズがすべて地元に集中しているからだ。値段が高くとも、さらなる質の向上が必要という事実は隠し切れない」と述べている。

北京郊外の民宿、需要を満たせず

国慶節の大型連休は、コロナの影響で地元など近場や省内でレジャーを楽しむ傾向が現れている。木鳥民宿(muniao)の「2022国慶節民宿市場予測報告」によると、連休中は北京郊外の民宿の予約件数が前週より65%増え、2019年の同じ時期の105%増しとなっている。宿泊日数を見ると、北京、上海、広州、南京などは2日間前後であり、近場で短期間を過ごすスタイルである。

北京の会社員・晨晨さんは、旅先でコロナに見舞われて帰宅できなくなることを心配し、長江下流の水の都・烏鎮に似せた風情でこのところ人気の近場行楽先となっている密雲区の古北水鎮で、交際相手とともに過ごそうと考えた。

ところが、北京郊外の観光地を専門に扱う旅行会社から、古北水鎮の取扱い先宿泊施設は9月29日以降はもう満室と告げられた。「大型連休中、北京郊外の観光地はどこもかなりの人出となる」という。この旅行会社は主に、「宿+観光地」をセットにした「セミフリープラン」を扱っている。同じコースで値段が違うのは宿泊料の違いによるもので、1泊あたり1000元もの開きがあるという。

晨晨さんは、「宿代があまりにも高すぎ」とため息をついた。9月24日に宿泊予約アプリを開いたところ、普段は1泊300元台(約6000円)のダブルベッドルームが1880元(38000円)に、また普段500元(1万円)台の「ツインルーム」が7倍近い3400元(7万円)以上になっていた。

大隠于世の庭

にもかかわらず、人気の宿はほぼ満室である。中国北部初の民宿集結場所であり、インスタ映えするとの評判で客足の絶えない北京市延慶区の共同の宿「大隠于世」は、2部屋の戸建て(収容人数7人)がどれも4300元(87000円)前後であり、海が望める海外リゾートモルジブのホテル並みの値段である。

コロナの影響で遠出が難しくなったこの2年間、需要の薄かった近場の民宿業界が活況を呈している。北京郊外には2298軒の戸建てを含む高級民宿が1508か所あるが、まるで足りないと業界内では見られている。評判の良かった高級の宿は人気任せで質が追い付かずに徐々に客離れしており、今年の国慶節連休以降は下火になっていくものとも見られる。

(中国経済新聞)