中国の新興自動車メーカー「威馬汽車」(WMモーター)が先ごろ発表した目論見書によると、2019年~2021年にかけて赤字が増え続け、2021年には82億元(1651億円)に達している。
売上高の落ち込みや巨額の赤字を抱える中、創業者で最高経営責任者である瀋暉(シェンフイ)社長は2021年の年収が12.6億元(約254億円)である。この年の会社全体の売上高は47億元(947億円)であり、その3割近くが瀋氏の手に渡ったことになる。
またこの年、威馬汽車は主要幹部陣の年収総額が17.5億元(352億円)であり、瀋氏1人でその72%を占めている。
一方で、同じく新興自動車メーカーである「零跑汽車」(リープモーター)は2021年、28.5 億元(574億円)の赤字を計上した中、創業者で執行役員兼最高経営責任者である朱江明社長の年収は、主要幹部陣の年収総額の9.9%にあたる954.6万元(1.92億円)となっている。
他の新興自動車メーカーの創業者を見ると、「理想汽車」(リ・オート)の李想(リー・シャン)氏は2021年の年収が150.4万元(3029万円)、「小鵬汽車」(シャオペン)の何小鵬(ヒー・シャオペン)氏は135.2万元(2723万円)となっている。よって瀋氏の去年の年収は李氏の800倍近くに達している。
ただし瀋氏は、12.6億元(254億円)を全額手中に収めることにはらないと見られる。この年収分は通常の給与と株に左右される部分に分けられ、前者が200万(4000万円)前後で、後者の分を合わせておよそ12.59億元(253.5億円)となるわけである。この後者の部分は上場した後に手に入るものであり、上場を目指す会社は準備段階としてしばしば経営陣に株を支給する。
また威馬は2021年、事務関連の出費が前年より57%も増えて27億元(543億円)に達している。これについて同社は、幹部陣に株による賞与を支給したことで株式ベースでの支払いが大幅に増えたこと、またC+シリーズの国内投資家に対する同じく株式ベースの出費が生じたことを理由に挙げている。
威馬は、株主一覧を見ると創業者である瀋氏と王蕾氏の夫婦の所有株式が合わせて30.82%となっている。また別のデータでは、2017年からの累積赤字額が100億元(2兆円)を超えている。
(中国経済新聞)