新興自動車メーカー「理想汽車」の執行取締役兼社長の瀋亜楠氏は、9月に入って二度に渡り自社株を売却している。まず9月2日に40万株を、9月6日には60万株を売り、持株率は1.71%から1.68%に下がっている。計100万株を売った瀋氏は1316.38万ドル(約18.8億円)を手にしている。
瀋氏はこのほか、去年12月6日から同じく自社の香港株も売却しており、持株数が3200万株から2900万株に減った。理想汽車について、今年3月にも筆頭株主である美団の創業者・王興氏が2日間で香港株を三度も売却しており、持株率を22.89%から22.82%に減らしておよそ3.1億元(63.7億円)を手にしている。
契約関連に詳しい弁護士の馬向氏は、企業の幹部が流通市場で自社株を売却することについて評価は難しく、法の下での個人の自由や権利だと述べている。ただ一方で、「上場会社では、幹部や役員などは会社を一番よく知っている。これらの層が株を売買すると、会社の株価に何らかの影響が出るだろう」とも述べている。
理想汽車が先ごろ発表した8月の販売データを見ると、新車の販売台数は4571台で、前年比51.54%減、前月比56.14%減という大幅な落ちこみであった。さらには車種の「理想ONE」について、末端価格が2万元値引きされたのちに生産販売が中止され、間もなく発売予定の「理想L8」にすべて置き換えるなどといった情報が出たことで、消費者の強い怒りを買っている。
理想汽車の2022年上半期の決算を見ると、売上高は前年同期比112.4%増の183億元(約3759億円)、このうち第二四半期は同じく73.3%増の87.3億元(1793億円)であった。販売面では、「理想ONE」が合計60403台売れた一方、13.92億元(約286億円)の赤字を計上しており、1台売るごとに2.3万元(約47万円)の赤字が発生したことになる。
(中国経済新聞)