金龍汽車子会社に約107億円の損害賠償請求、北マケドニアのEVバス入札巡り国際仲裁

2026/10/17 08:30

中国のバスメーカー、厦門金龍汽車集団(キングロング・モーター、証券コード:600686.SH)は10月15日、全額出資子会社の厦門金龍聯合汽車工業(以下、金龍聯合)が、ロンドン国際仲裁裁判所(LCIA)で約6,073万ユーロ(約107億5,000万円)の損害賠償を求める仲裁を申し立てられたと発表した。

申立人はAKTRUS VENTURES DOOEL-UVOZ-IZVOZ。北マケドニアで計画されていた電気バスの調達案件を巡り、金龍聯合との契約上の見解が対立した。仲裁はまだ審理前で、金龍汽車は業績への影響について不確実性があるとしている。(※ユーロ建て金額の円換算は、1ユーロ=177円として計算。)

保証状の発行を巡り対立、相手方が契約解除

金龍汽車の発表によると、金龍聯合とAKTRUS VENTURESは2026年6月5日、「共同入札およびプロジェクト実施に関するコンソーシアム契約」を締結した。両社は、北マケドニア交通省が実施する電気バス150台と関連充電設備の調達案件への共同入札を目指していた。

しかし、プロジェクトの推進過程で保証状の発行を巡って意見が対立。AKTRUS VENTURES側は、金龍聯合が契約に違反したとして一方的に契約解除を通知し、ロンドン国際仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。

申立人が求めている損害賠償額は、暫定で6,073万3,170.73ユーロ(約107億5,000万円)。金龍汽車は、請求額が入札発注者の調達予算を上回っている点も明らかにした。

金龍汽車は請求に反論、国際仲裁の専門家を起用

金龍汽車は、現時点で把握している案件の状況や関連証拠に照らし、申立人の主張には十分な事実的・法的根拠がなく、請求の論理的な裏付けも欠けているとの見解を示した。

また、金龍聯合はプロジェクトの協力過程で契約上の義務を履行してきたとしている。同社は専任の対応チームを設置し、国際仲裁に詳しい弁護士チームを起用して対応を進める方針だ。

ただし、仲裁はまだ審理前であり、申立人の主張が認められるか、認められる場合にどの程度の金額となるかは現時点では不明だ。最終的な業績への影響は、今後の仲裁結果によって決まる。

金龍汽車はさらに、今回の案件は海外での共同入札に関連するものであり、現時点で日常の生産・営業活動、主力事業、財務上のキャッシュフローに重大な悪影響は生じていないと説明した。欧州に重大な執行対象資産はなく、請求額が重大な財務上の脅威には当たらないとの認識も示している。

2026年上期は増収増益、バス事業が売上の大半

金龍聯合は資本金9億2,800万元(約204億円)、福建省厦門市に登記する金龍汽車の全額出資子会社だ。金龍聯合は、厦門金龍旅行車と金龍聯合汽車工業(蘇州)とともに、同グループの大型・中型・小型バスの研究開発、生産、販売を担っている。

金龍汽車の2025年年次報告書によると、バス事業の売上高はグループ全体の売上高の94.89%を占めた。2025年の連結売上高は245億4,700万元(約5,399億円)だった。

2026年上期の業績は、売上高が前年同期比7.34%増の110億8,500万元(約2,439億円)、親会社株主に帰属する純利益が同137.58%増の2億7,600万元(約60億7,000万円)となった。

今回の仲裁について、金龍汽車は現時点で本業やキャッシュフローへの重大な影響はないとしているものの、約107億5,000万円の請求が認められた場合の負担額は仲裁結果次第となる。バス事業がグループ収益の大半を占めるなか、今後の仲裁手続きと会社側の対応が注目される。

(中国経済新聞)