12月6日、妻と2人の子供とともに、およそ1年3か月ぶりに北京へ帰省した。

- 12月6日の朝に北京へ出発。搭乗率は8割ほどだった。
報道では日中双方とも「中傷合戦」を展開し、航空便の運休情報ばかり伝えられているが、例年この時期はシーズンオフで乗客が少なく、それに合わせた減便もその中に含まれている。また日本では「年末年始を故郷で過ごす」人が多いが、中国の正月は人の移動はあまり多くない。中国では大型連休のほか、1月1日の元日も含めて数日の祝日があり、いずれも土日とあわせて3連休とすることが多いが、その中で正月連休は寒いこと、また後に春節連休を控えていることもあってさほど盛り上がらず、列車の切符などもとりやすい。
現地に着き、夕食を取ろうと商業施設を歩いたところ、飲食サービスが一段と向上していることに気づいた。

- 麺の替え玉と“饼”のおかわり無料サービス。
以前のレポートで「春雨おかわり無料」を報告したが、今度はさらに中国らしいサービスが加わっている。“饼“とは、「お餅」ではなくお好み焼きの生地状のもので、主食の一つである。


- 上の写真には“3大免費”、下の写真には“免費不限量”。
こちらは「おかわり無料」ではなく、一品を注文すればごはんや飲み物代が一切無料、というサービスである。日本では米価が上昇の一途をたどり、飲食店のごはんおかわり無料もどんどん減っているが、こちらでは農産物は相変わらず安く、日本からの旅行者からすれば大変なありがたみを感じてしまう。さらにこのようなサービスもあった。

- チキンスープの試飲サービス。
店員不在で自由にスープをすくって飲める出店があった。このスープは実に美味しかった。
食べ物の話題ばかり続いてしまったが、翌日に街を歩くと、それ以外にも様相が変貌しているのを発見した。まず、地下鉄やバスに乗った際に車内がとても静かだった。

- 北京の地下鉄の車内。
写真の車内は乗客が少ないが、混雑した電車やバスの中でも、相変わらず携帯電話で通話している人はいたものの概して大人しくスマホ画面を見つめており、以前のようなざわついた場面は少なかった。この日は幼い子供2人を連れており、日本語で騒ぎ声を連発してしまったので、非常にきまりが悪かった。

▲地下鉄駅の発車時刻表。
当たり前の表示に見えるが、日本では首都圏のJRを中心にこのようなサービスはなくなりつつあり、不便になっている。逆に北京では数年前からほぼ全駅で掲示されるようになっている。

- 団地の入り口にあるごみ箱の列。燃えるごみ、燃えないごみ、生ごみなどに分類。
ごみの回収日が決まっている上に有料ごみ袋の利用が義務づけられている日本とは違い、こちらでは街中のあちこちにごみ箱があって、旅行者にとっては大変便利である。

- 「犬の放し飼いはやめましょう」「犬の糞は始末して下さい」との注意書き。
ペットを飼う人がどんどん増えている中国では、このようにマナーを呼びかける動きも出ている。ただし糞の後始末がどこまで実行されているかまでは定かでない。
街を歩いていると、信号のない横断歩道で自動車が歩行者に道を譲るという今までになかった光景があった。俗に“礼譲行人”(歩行者優先)という当たり前の行動ではあるが、これについては「歩行者がのべつ幕なしに道を横切ってしまう」という反対意見も強い。報道では車の運転マナーの悪さばかりが取りざたされるが、歩行者も十分に周囲をよく見る必要があるとも思われる。
町の様子



(森 雅継)
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【筆者】森雅継、東京都出身、早稲田大学商学部卒。北京在住歴17年で中国人の妻との間に2児、現在は家族4人で千葉県に在住。
