中国、自動車メーカー8社がDeepSeekを導入 スマート化本格的に

2025/02/11 10:26

中国の自動車メーカーがこのところ相次ぎDeepSeekとの統合を果たしたと発表しており、大規模言語モデル(LLM)の自動車への導入が急速に進んでいる様子が示されている。強力な計算力やスマート性を備えたDeepSeekが今、対話機能の引き上げへ中心的な技術となりつつある。

まず吉利汽車が2月6日、自社開発のAIモデル「星睿(Xingrui)」にDeepSeek-R1を統合したと発表した。DeepSeek-R1を「蒸留」トレーニングさせることで、「星睿」の制御機能LLM FunctionCallと自動車のLLMの機能が大きく向上するという。統合したAIシステムは、ユーザーの漠然とした意図を正確に理解したり、およそ2000か所の車載ポートを正しく適用し、車内外の場面に基づいてユーザーの潜在的なニーズを分析したりできるようになる。車の制御や対話、アフターサービスなどのスマート化機能が加わり、やり取りが大変に便利になる。

続いて極氪汽車(Zeekr )が2月7日、同じく自社開発のLLM「Kr AI」とDeepSeek R1の統合を完了し、スマートキャビン補助のAI「Eva」を導入する予定と発表した。さらにこの日、嵐図汽車(VOYAH)もスマートキャビン機能にDeepSeekを導入し、2月14日から「知識蒸留」を始める予定と発表した。まずはDeepSeek導入車種として「知音」と「夢想家」の量産を始めるといい、「知音」については業界全体でも初めてとなるDeepSeek導入の量産車種となる。

2月8日には宝駿汽車(Baojun)が、自社のスマートキャビン「霊語」にDeepSeekにLLMを導入して「享境」(Xiangjing)に搭載していると発表した。今後は「雲海」や「悦也Plus」などの車種もOTAにより実用化するという。智己汽車(IM Motors) もまたスマートキャビンについて、DeepSeekのLLMと統合した上、豆包や通義などのLLMも取り入れて様々な場面でプラグインAIマトリックスを構築すると発表した。東風汽車も各車種でDeepSeek全シリーズLLMの接続を完成し、「嵐図」「猛士」「奕派」「風神」「納米」などで順次利用すると表明している。

零跑汽車(Leapmotor)は、DeepSeek-R1を搭載した新しいキャビンが近々リリースされると発表した。DeepSeek-R1は小零GPTLLMに接続されたほか、社内のITチームで運用を始めており、業務の効率化に役立っているという。長城汽車のCTOである呉会肖氏はブログで、「DeepSeekのdemoが車で動作しており、LLMのCoffee AgentでDeepSeekを統合している」と表明している。Coffee AgentはDeepSeek R1の利点を取り入れ、理解力や思考力、推理力を伸ばしてスマートサービスの拡大を図るとのことである。

このようにDeepSeekの自動車への導入が加速していることで、各メーカーともAIのサブシステムの長期定着が進みそうである。長城汽車の場合、AIサブシステムサポート側とクラウドLLMが接続され、互換側のチップとクラウド側の計算力により、DeepSeekがサブシステム内部で統合されれば即座に実行可能となる。自動車メーカーはこうした技術でよりスピーディーなスマート化ソリューションを生み出し、ユーザーの方でもより高機能なやり取りが楽しめる。

(中国経済新聞)