TikTok、カナダで事業所の閉鎖を求められる

2024/11/10 14:30

11月6日午後、カナダ政府は国家安全保障上の懸念を理由に、絶大な支持を集めているアプリ「TikTok」の国内事業所の閉鎖を命じた。ただしアクセス制限はしていない。

カナダのフランソワフィリップ・シャンパーニュ(François-Philippe Champagne)革新・科学・産業相は水曜日のメディア向け声明で、「調査の過程で収集された情報と証拠、およびカナダの安全保障・情報機関や他の政府パートナーからの助言に基づき、このように決定した」と述べ、TikTokのトロントとバンクーバーの事業所を直ちに閉鎖するよう命じている。

ただし声明では、「政府はカナダの人々がTikTokにアクセスしたり、コンテンツを制作したりするのを禁止しない」と強調している。シャンパーニュ氏は、「SNSを使うかどうかは完全に個人の選択だ。カナダ人は、情報が外国の勢力に収集され、管理され、使われ、シェアされているか否かなど、起こりうるリスクを評価するネットワークセキュリティー対策を敷いた上、適用される法を知っておくべきだ」と呼びかけている。

カナダ安全情報局(CSIS)もTikTokについて、「若者も含めてカナダ人は使わないことが望ましい」と警告している。CSISのデビッド・ヴィニョー(David Vigneault)元長官はCBCの取材に対し、「TikTokのコンテンツについて、若者にさしたる影響はないと思う人は多いだろうが、5年後や10年後に大人になって様々な業界に入ると社会に悪影響が出る」と述べ、「個人的にはTikTokを使うことは勧めない」と明言している。

カナダは2023年2月に、政府端末におけるTikTokの使用を禁止しており、この年後半にはTikTokに対する国家安全保障上の調査を指示している。今週水曜日の声明はその結果を発表したものとなり、シャンパーニュ氏は「国の安全や情報界の厳しい審査を経ている」と表明している。

TikTokの親会社であるバイトダンスはこのような数々の批判に対し、「サーバーは中国にはないので中国政府の統制を受けず、カナダのデータ保護やプライバシー関連の法を厳守している」と強く主張している。TikTokは法庭でこれらの禁止令に対して反論しており、広報担当は声明の中で「カナダの事務所を閉鎖し、数百人が勤める高給の職場を廃止することは、だれの利益にもならない。今回の閉鎖命令はまさにそのようにすることだ」と述べている。

アメリカのバイデン大統領は今年4月24日、バイトダンスに対し、2025年1 月19日までにTikTokを売却しないと使用禁止とする内容の法案に署名した。ホワイトハウスは、「国家安全保障上の懸念を理由にTikTokに対する中国の所有権を廃止したい。TikTokの運営自体は終了しない」と表明している。TikTokとByteDanceは今年 5 月に、この法案を阻止するためにアメリカ連邦裁判所に提訴している。

(中国経済新聞)