イーロン・マスク氏が設立したアメリカの宇宙企業「スペースX」が、台湾の仕入先に対して生産を海外に移転するよう求めており、一部の業者はすでにサプライチェーンの一部を移転しているという。ロイターが関係者の話として報道している。
Starlinkに部品を供与している下請け企業の消息筋によると、SpaceXは地政学的リスクを念頭に、製造事業者に対し台湾以外で生産するよう求め、少なくとも1社がベトナムに生産を移しているという。また、SpaceXに部品を供与しているChin-Poon Industrialはロイターに対し、新規注文への対応として製造事業を台湾からタイへ移転するようSpaceXに求められたと表明した。主に地政学的な考慮が理由だとしている。ただこの会社は、詳しくは説明していない。
台湾には、衛星の地上設備や機密性部品のメーカーが約50社あり、去年の生産額は2000億台湾元(約9548億円)以上と見られている。消息筋によると、SpaceXがじかに仕入れている会社は10社あまりで、これらは同じ台湾内のメーカー計数10社から仕入れているという。
さらに、同じくSpaceXの仕入先である台湾の緯創網路科技(WNC) が今年から、ベトナム北部のハナム省にあり、ハノイから車で南へ約1時間という工場で、Starlink向けにルーターとネットワーク機器の生産を始めていると伝えられた。工場のある従業員は、WNCがベトナムで拡張できたのはSpaceXからの注文による部分が大きいと話している。
別のSpaceXの仕入先で衛星の部品メーカー「昇達科技」 (Universal Microwave Technology) も今年、ベトナムに工場を建設している。同社は秘密保持義務を理由に特定の顧客に対しコメントを拒否しているが、正在、タイやベトナムに工場を建設するなど東南アジアの事業を拡大していると表明した。さらに、プリント基板用はんだを製造し、以前SpaceXの部品仕入先であったという「昇貿科技」は、4月に500万ドル(約7.71億円)をかけてベトナムに工場を設けたと発表したが、製品の供給先は明らかにしていない。
(中国経済新聞)