中国の新興電気自動車(EV)メーカー「理想汽車(Li Auto)」が発表した第3四半期の決算報告によると、売上高は前年同期比23.6%増の428.7億元(約9198億円)、営業利益も同じく46.7%増の34.3億元(約736億円)と過去最高を記録したものの、最終利益は28.2億元(約605億円)で0.4%の微増にとどまった。これを受け、株価が香港で9.59%、アメリカで13.58%それぞれ値下がりした。
利益が伸び悩んだ大きな理由は利息収入と投資収益で、それまでの黒字から2198万元(約4.71億円)の赤字を計上するに至った。去年同期は4.4億元(約94.4億円)の黒字だったことから、今回は大きく足を引っ張ったことになる。これらは今年上半期に14.4億元(約309億円)の収益を挙げていたが、第3四半期は短期投資の結果が思わしくなかった結果が示された。
理想汽車はこのところ手持ちの現金が増え続けており、2023年末には1000億元(2.14兆円)を超え、投資収益を押し上げた。2021年~2023年における利息収入と投資収益の合計額は、順に7.4億元(約159億円)、9.8億元(約210億円)、20.8億元(約446億円)であった。このところの3か月決算で投資回収率は2%~3%で推移していたが、今期は投資収益の不振で赤字計上に至った。
現金資産について、理想汽車の説明では現金および現金同等物、制限付き現金、定期預金や短期投資、長期投資を含む長期定期預金としている。よって、投資収益に関わりのあるものは主に定期預金・短期投資となる。
利息収入と投資収益を四半期ベースで見ると、2020年第1四半期以降はプラスを維持していた。ところが2024年第3四半期、短期投資関連が大幅に増え、期末には定期預金および短期投資の額が過去最高の289.5億元(約6211億円)となって、第2四半期末の164.6億元(約3531億円)から約125億元(約2682億円)、率にして75.8%増えた。
また上半期全体でも同じく過去最高となっており、これを受け投資を大幅に拡大したが、思わぬ赤字計上となった。
短期預金による収益を考えればマイナスになることはありえず、短期投資が2198万元(約4.71億円)の赤字とはならないはずである。ところが理想汽車は、四半期決算、中間決算、年間決算のいずれも短期投資の行方を示しておらず、不透明な状態となっている。