韓国の外交消息筋は28日、中国在住の韓国人A氏が「中華人民共和国反スパイ法」(略称「反スパイ法」)に違反した疑いで逮捕されたと発表した。中国では10年前に「反スパイ法」が実施されて以来、韓国人の逮捕は初めてという。
10月29日、中国外務省の林剣報道官は定例記者会見でこの件について問われた際、「韓国国民がスパイ容疑で中国の関連当局が法に基づき逮捕した」と述べた。
林報道官は、「関連部門は駐中韓国大使館に領事通知を行い、大使館領事関連職務に必要な便宜を提供した」とし、「中国は法治国家であり、犯罪行為を法に基づいて捜査し処罰する。また当事者の合法的権利を保障した」と表明している。
この韓国人は50歳代で、妻と2人の娘ととともに安徽省合肥市に住み、中国の半導体会社に勤務していた。去年末に合肥市国家安全局の調査担当により自宅から連行され、現地のホテルに5か月余り隔離された状態で取り調べを受け、今年5月に検察当局に逮捕され、拘置施設へ移された。以前サムスン電子の半導体部門に務めるなど、2016年以降に中国でチップメーカー長鑫存儲(CXMT)など3、4社の半導体大手に勤務していた。
CXMTは2016年設立で、安徽省合肥に本社を構える広帯域メモリーの製造会社であり、モバイル端末、パソコン、サーバー、バーチャルリアリティー、IOTなどに広く活用されているダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー(DRAM)の設計や開発、生産、販売を手掛けている。
2014年から「反スパイ法」を実施している中国で、これまで韓国人を処罰した例はなく、A容疑者が有罪判決を受ければ初のケースとなる。
(中国経済新聞)