中国の新興自動車メーカーがまた全米上場を目指し、4社目

2024/05/14 17:30

中国の電気自動車(EV)メーカー「極氪科技」(Zeekr)がアメリカ東部時間5月3日、ニューヨーク証券取引所での上場を目指して更新版の目論見書を提出した。銘柄コードは「ZK」で、普通株10株分となるアメリカ預託株式(ADS)1750万株を1株当たり18ドル~21ドル(約2806円~3274円)で発行するものとみられる。中国の新興自動車メーカーとしては、「蔚来」(NIO)、「理想」(Li Auto)、「小鵬汽車」(Xiaopeng)に次ぐ4社目の全米上場となる。

Zeekrは、主に先進的EV技術の開発や販売・営業ネットワークの拡大、充電ネットワークの充実化や会社の一般用途向けとして、初めての株式公開(IPO)で約3.086億ドル(約481億円)の収益を手にするとみられる。今回のIPOはゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、メリルリンチ証券、中国国際資本が引受元となる。

Zeekrの決算データを見ると、年間売上高は2021年が65億元(約1400億円)、2022年が319億元(約6874億円)で、2023年は前年比62%増となる517億元(約1.11兆円)であった。損益については、2023年は赤字額が82.264億元(約1773億円)まで減ったが、前年の76.551億元(約1650億円)より若干増えている。完成車の粗利率は2021年の1.8%から2023年には15%まで伸びた。

2023年について、同業他社と比較すると、粗利率は蔚来や小鵬を上回る15%で、テスラの19%に次いでいる。また営業キャッシュフローは22.8億元(約491億円)で、経営は比較的安定していることが分かる。

Zeekr は新興メーカーと異なり、元は中国自動車メーカーの吉利ホールディングスのEV部門子会社であって、2021年に分離独立した。製造や研究開発、サプライチェーンなどについて吉利ホールディングスと共有化しているので、巨額の投資は少なく、1台当たりのコストも軽減しており、売上高の中身も多岐にわたっている。吉利はまた、自社開発したSEAプラットフォームをZeekrに供与しているほか、他のメーカーや車種に利用させている。

Zeekrの収益源は、主に車両の販売、「三電装置」(電池、モーター、駆動性)、研究開発事業である。2024年は国内での新エネ車の普及率拡大、新製品の投入、チャネルの拡大、海外市場の開拓を進めることで、前年比のほぼ100%増となる23万台という販売目標を掲げている。

なおZeekrの今回の株式公開における見積額は、これまでの予想を下回るおよそ51.2億ドル(約7982億円)である。一方で、新興自動車メーカーの投資熱もほぼ一服し、2021年のような盛況ぶりは去った模様である。蔚来、小鵬などの全米での株価は、ピーク時の2021年から2年が経過して80%ほど落ち込んでいる。 関係者によると、現在は決して資本市場で絶好の開始時期ではないが、それでも短期的な融資と長期的な成長のどちらを求めるのか見るべきだという。また中国の自動車メーカーがグローバル展開を狙うにあたり、全米での上場は会社の統治体制の整備につながるという。

(中国経済新聞)