テスラ、FSDの中国普及へ大規模な組織替え

2024/05/13 07:30

テスラは現在、自動運転支援システム「FSD」について、中国を中心に全世界へ普及させるため、経営幹部陣の刷新をはかっている。

最高経営責任者のマスク氏は先ごろの訪中で、中国でのFSDのテストや導入を中心に話を進めた。先進的な運転支援システムのテスト実施を持ち掛けた上、この機能のロボタクシー(Robotaxi)への導入を願っていると述べたという。中国政府はこれに歓迎の意向を示した上、この分野についてモデルとなる役割を発揮してほしいと表明した。

中国では現在、FSDを購入することは可能だが、主に高速道路での利用となるテスラの運転支援機能Autopilotのみの利用に限定されている。FSDはこれに対して、駐車や車線変更、ナビゲーションなどでのハイレベルな自動運転機能が可能なもので、都市部の一般道路用である。

中国はFSDの購入が可能であるが、現時点で当局からの利用許可が下りていない。現在は高速道路でのAutopilotの利用は可能である。FSDは支援機能が一段と充実しており、駐車や車線変更、ナビゲーションなど都市部の一般道路で使えるものである。

世界的に見て、一般道路での自動運転テストを行っているのは中国とアメリカのみであるが、厳しい制限が設けられている。最近、浙江省杭州が中国で初めて自動運転車の道路走行に関する具体的な手順を定めており、国として前向きに取り組む姿勢が示されている。

テスラはまた、FSDを普及させるにあたり、データの使用や処理の問題に対応する必要がある。自動運転は主に北米でテストされているが、中国でデータを集めてもアメリカに転送ができなければ、中国国内でテスト環境を整えなくてはならない。データの国外転送は法律や技術的な問題があるので、中国政府が許可を下すか、あるいはアメリカ政府が中国でのAIアルゴリズムの導入を許可する必要がある。

また中国公安部の交通部門は現在、FSDの導入に伴う道路交通法上の問題について明言を避けている。こうした法的問題や管理の問題は、中国でFSDを普及させる上でのネックとなる。

マスク氏は以前に、将来的には人が運転する車より無人運転タクシーの方が交通手段として一般化すると述べており、「完全自動運転ができなければテスラは存在価値がなくなる」と強調していた。テスラは今年8月8日にRobotaxiを発表する予定であり、実用化に向けて大きな一歩を踏み出すことになる。

(中国経済新聞)