「全人代」特別報道①2024年の経済成長目標を5%程度に

2024/04/4 07:30

 李強総理は3月5日の政府活動報告で、今年の主な所期目標として以下を打ち出した。▽国内総生産(GDP)成長率5%程度▽都市部新規雇用1200万人以上、都市部調査失業率5・5%程度▽消費者物価の上昇幅3%程度▽住民所得の伸び率を経済成長率と同ペースに保つ▽国際収支の基本的均衡の維持▽食糧生産量6億5000万トン以上▽単位GDPエネルギー消費量の2・5%程度低減、生態環境の持続的改善。

 これらの目標は、国内外の情勢と各方面の要素を総合的に考慮し、必要性と可能性の双方を考慮して打ち出したものだ。

5%程度としたの理由

 経済成長目標を5%程度としたのは、雇用と増収の促進、リスクの防止と解消といった必要性を考慮するとともに、第14次五カ年計画(2021~25年)及び現代化の基本的実現という目標と結びつけ、経済成長の潜在力及びこれを支える条件も考慮して、積極的に進取に励み、奮起して行動するという姿勢を反映したものだ。今年の目標の達成は容易なことではないため、的確な政策を講じ、各方面が心を一つにしていっそう努力する必要がある。

 第14期全国政協委員、中共中央党校教授の韓保江氏は5%前後の成長目標は幾重もの世界的意義を持つ。世界2位のエコノミーの発展目標及び政策の方針の安定性と確実性そのものが、世界経済の安定性の大きな出処だ。この中国の発展の自信と決意を示す数字は、世界経済の回復にとって間違いなく人心を奮い立たせるメッセージだ。世界銀行は年初の報告書の中で、先進エコノミーの24年の成長率は23年の1・5%から1・2%に低下し、発展途上エコノミーは過去10年の平均水準を1ポイント超下回る3・9%のみになると予想した。中国の5%がなければ、世界経済がさらに惨憺たるものになり、景気後退の大きなリスクに直面することが想像できる。米国及び西側の一部のメディアは中国経済の悲観に夢中になり、一部の国はさらに中国との「デカップリング」を促進している。これは全世界の土台を堀り崩し、彼ら自身を含む全世界の利益を損ねる。」と指摘した。

約130兆円増加を意味する

 韓保江氏は、「5%の経済成長目標は、十分な雇用の確保と国民の増収促進という現実的な需要を満たし、第14次五カ年計画及び現代化を基本的に実現という目標と結びつき、かつ経済成長の潜在力と支援条件を考慮した。これは中国経済の中高速の成長を促す自信と決意が不変であることを示した。また5%の目標は巨大規模の消費市場と投資市場をもたらし、国内外の各種資源、要素、発展の力を中国に集める力強いメッセージになるはずだ」との見方も示した。

 2023年の中国のGDPは126兆元(速報値)で、24年の5%の成長は6兆3000億元(約130兆円)を意味する。これは世界の大多数の国の年間GDPを上回る規模だ。中国経済の世界経済成長への寄与度も30%以上を維持し、世界経済成長のその名に恥じない最大のエンジンであり続ける見込みだ。

 中国国家発展改革委員会鄭柵潔主任は6日午後の記者会見で、「今年の中国の経済成長の所期目標を5%前後にすることは、科学的論証を経たものであり、第14次五カ年計画の年度の要求に合致し、経済成長の潜在力と基本的に一致する。全力を挙げて一気呵成に実現できる目標だ」と述べました。

日本の一部メディアが疑問を投げた

 一方、日本の一部メディアが中国政府の5%の成長率目標に疑問を投げた。日本経済新聞は3月9日、「2024年は追い風がやみ、景気の下振れ圧力に弱くなっている。だが政府予算は財政赤字の国内総生産(GDP)比を前年の3・8%から3%に下げた。超長期国債の発行もあり急激な財政引き締めとはいえないが、成長目標のハードルは高まった。3%とした消費者物価の目標は国民の不満を抑えるための上限値としての意味を持つ。デフレに対し直接的に策を打つ機運は乏しい。雇用も抜本策は見当たらない。政府活動報告に盛り込んだ都市部の新規就業は1200万人以上。23年実績(1244万人)を下回り、24年に見込まれる大学など高等教育機関の卒業数(1179万人)とほぼ同水準だ。15%近い若年層の失業率や、数百万人規模で続く農村からの人口移動を考えると、就業問題は不動産と並び経済のアキレス腱(けん)であり続ける。1人当たり可処分所得の伸びは「経済成長と同水準」としており、6・1%だった23年を下回る可能性がある。雇用の弱さと無縁ではない数値だ」と指摘した。

IMFは4・6%と予測 

 国際通貨基金(IMF)は米国現地時間3月2日、2023年の対中4条協議報告書を発表した。IMFはその中で、中国経済が新型コロナウイルス感染症の後に力強く回復したことを歓迎するとした上で、中国の2024年の経済成長率を4・6%と予測した。

 HSBCグローバル・リサーチ(グレーターチャイナ)の劉晶・チーフエコノミストは中国は今年、GDP成長率目標を達成する能力があるとの見方を示した。

 劉氏によると、今年の中国の赤字率3%、特別国債1兆元(約20兆円)、地方政府特別債3兆9000億元の発行は昨年とほぼ同じだが、実際には金融支援が強化されており、金融緩和のシグナルもより明確になっている。HSBCは、今年も50ベーシスポイントの引き下げや、その他の構造的な金融政策手段による流動性の供給があると予測している。

 「2024年の全人代の閉幕に伴い、次の最大の注目点は、経済の円滑な構造転換を確保にするために、様々な政策がいかに実行に移され、同じ方向性で効果を発揮するかという点だ」。劉チーフエコノミストによると、HSBCは2024年の中国の消費成長率が前年比で7%に達すると予測しており、その主な原動力は経済のファンダメンタルズの持続的改善、特に引き続き力強さを見せるサービス消費による他分野の回復牽引、新たな不動産開発モデルの下での市場安定化による信頼感回復にあると見ているという。

 投資面では、大規模な設備更新や消費財の買い換えが製造業投資の伸びを支えるとの見方を示した。また、政府による中低所得者向け住宅の供給増が、分譲住宅市場の圧力を緩和し、不動産市場の安定化をより迅速に促進するとした。

 (中国経済新聞)