旧正月の年越しを控えた中国で、EC(電子商取引)大手「京東集団」の創業者である劉強東氏が、故郷である江蘇省宿遷市来竜鎮光明村に対しダウンジャケット1000件余りをプレゼントした。贈呈の場で光明村のトップが、「人口6000人余の村は、劉氏が支援してくれたおかげで就業率は100%だ」と嬉しそうに語った。
光明村は、劉氏の並外れたビジネスの才覚と投資により、暮らし向きが変わった。劉氏は両親が船頭で生計を立てる貧しい家に生まれ、祖母の家に預けられた。「祖母は字が読めなかった。大人になるまで何もかも自分でやった」と語る。1992年に宿遷中学(高校)を卒業して中国人民大学に入学、1998年に1.2万元(約24.5万円)の貯金を手に北京の中関村に向かい、小さなカウンターを借りてCDやディスクドライブを売り始めた。これが商売への第一歩となる。2004年にEコマースを手掛け始め、「京東多媒体網」(京東商城の前身)を立ち上げた。会社は最初の融資を得た2007年から急成長を始め、この年に「取扱品を全分野に拡大」、「倉庫と配達を統合した物流システムを構築」という大きな事業方針を開始し、2014年5月に「京東」としてアメリカ・ナスダックでの上場を果たしたのである。
光明村は農業従事者が多く、暮らしも質素である。世の中の発展に伴って、若者たちがいい仕事を求めて都会へと向かうようになり、高齢化問題が深刻化している。
事業で成功を収めた劉氏は自らのルーツも忘れず、人口が減って衰えが進む故郷を見て行動をとろうと決め、村に大量の雇用をもたらそうと「京東光明物流パーク」の建設を始めた。この事業は、地元村だけでなく周辺の村へも雇用をもたらした。
劉氏はこのほか、現地の教育環境を改善すべく「京東光明学校」を建設した。こうした取り組みで光明村の就業率は100%に達し、村人たちもこの地で仕事をし、家族の面倒を見ながら生活費を手に入れるようになったのである。
(中国経済新聞)