グリー、わずか1日で時価が2000億円消失か!?

2023/12/22 08:30

家電大手の「グリー電器」は12月20日、株価が記録的に値下がりし、時価は1日で100億元(超2000億円)以上も吹き飛んだ。12月19日の夜に子会社「格力鈦」の株式への出資額増強を発表したことがその理由である。これまでに12人の株主と、10.1億元(約202億円)で全株数の24.54%にあたる約2.7億株の譲渡契約を交わしたという。

またグリー電器は、今後12か月以内に格力鈦の株式27.53%を買い取る予定であり、つまり格力鈦を全面的に配下に納めることになる。格力鈦の見積もり額は41億元(約820億円)前後とみられ、最盛期だった2016年の130億(約2600億円)と比べて70%近くもダウンしたことになる。

格力鈦は、コア素材のチタン酸リチウム、電池、モーター制御、充電設備、スマート蓄電システム、新エネ車の研究開発・生産・販売、車載電池の回収・利用を手掛けていた総合的な新エネルギー産業機関の「銀隆新能源」を前身としている。グリー電器は2016年に130億元(約2600億円)で銀隆新能源を完全子会社化する予定だったが、計画はこの年の株主総会で否決された。しかしグリー電器の董明珠会長はあきらめず、個人の名義で銀隆新能源に出資をし、のちに会社としての持ち株化を進めていった。

ただし格力鈦は、業績面で大幅な赤字状態である。2022年12月31日現在の決算を見ると資産総額は250.24億元(約5006億円)、負債総額247.86億元(約4959億円)で、収益は19.05億元(約381.1億円)の赤字となっていた。

業績は今年上半期にいくぶん改善し、2023年6月30日現在では資産総額243.11億元(約4863.7億円)、負債総額242.45億元(約4850.5億円)で、1-6月は売上高14.40億元(約288.1億円)、営業利益-1.42億元(約28.4億円)、純利益-1.71億元(約34.2億円)となっている。

ただグリー電器の投資家は、今回の買収計画を決して評価せず、株の売却に走り始めている。グリーが株価の暴落後に連夜に渡り業績を発表し続けているのはつまり、時価の管理や末端市場を気に留めている姿勢の表れである。

グリー電器は2023年の決算数値について、純利益が前年比10.2%-19.6%増の270億元–293億元(約5402億~5862億円)で、去年1901.51億元(約3.8兆円)だった売上高は2050億元–2100億元(約4.1兆~4.2兆円)と見ている。ただしこれらの数字は市場の予測をオーバーしており、大方の予想では売上高2040億元(約4.08兆円)、株主帰属の純利益は270.85億元(約5418.7億円)と見られている。

(中国経済新聞)