中国の自動車業界は今年第一四半期、価格競争を展開しながら販売量は落ち込んだ。
中国自動車工業協会のまとめでは、今年第一四半期の生産台数は前年比4.3%減の621万台、販売台数は6.7%減の607.6万台であった。このところ相次ぎ発表されている上場各社の四半期決算を見ると、販売減の影響で大手は純利益が軒並み大幅ダウンしている。
こうした中で、乗用車タイプの新エネ車型ピックアップトラックが踏みとどまりを見せている。「長城汽車」は第一四半期、「ハヴァル」、「WEY」、「ORA」の各車種が販売減に見舞われながら、ピックアップトラックが唯一のプラス成長を示し、前年比13.65%増の48817台を売り上げた。また同じくピックアップトラック大手の「江淮汽車」も前年比18%近い増加となる13956台を販売している。
今年第一四半期、中国全体のピックアップトラック販売台数は前年同期より7%減って12.1万台であったが、その中でハイブリッドタイプやEVタイプについては前年増を記録した。中でもEVタイプの販売台数は1186台で、前年比で他の各タイプのピックアップトラックを上回る206%の大幅増となっている。
「吉利雷達」のCEOである凌世権(Ling Shiquan)氏は先ごろ、「今年の中国自動車界には『つぶし合い』が深刻であり、従来のガソリン車と新エネ車の差が拡大しているが、ピックアップトラックについては全く逆でいまだにガソリン車が中心であり、新エネ車タイプの普及率は0.6%未満だ」と述べた。この理由について、メーカー同士で力の差があること、また走行規制や速度規制などの制約を受けているためという。ただし近年、これらピックアップトラックに対する規制が各地で撤廃されており、時代の流れもあって新エネ車のピックアップトラックが狙い目になっている。吉利雷達が最近導入した、会社の創業者をターゲットにした「RD6」(創業版)は、発売開始からわずか72時間で1000台以上の注文を受け付けた。
凌氏は、ピックアップトラックのEV化は一般の乗用車より速く、急ピッチで進むと見ている。走行規制の緩和に伴ってピックアップトラックの市場占有率は早ければ5年以内に世界の平均である6%に達し、販売台数はおよそ140万台となって、これまでの約1.8倍分の伸びが期待できるという。