「中国人女性殺害事件」の被告が強制執行を命じられる

2023/01/13 00:18

中国の情報執行サイトによると、山東省青島市城陽区の人民裁判所が1月11日、2016年に発生した中国人女性江歌(Jiang Ge)殺人事件で被害者の同居人であった劉暖曦(Liu Nuanxi)容疑者(原名劉鑫 Liu Xin)に対して、賠償金にあたる71.94万元(1398万円)の支払いの強制執行を命じた。江歌さんの母親である江秋蓮(Jiang Qiulian)さんはこの日の夜にブログで、劉容疑者への強制執行手続きが認められたとのコメントを発表している。

江秋蓮さんは1月10日の昼、「劉からの賠償金を受理したかを裁判所に尋ねたところ、『検索の結果、未受理である』との回答だった」とコメントした。城陽区の裁判所に強制執行の申請をしており、審査が7営業日以内に終わると述べている。

そして1月11日夜、江秋蓮さんはまたブログで「劉への強制執行手続きの審査が完了した」とつづった。

この事件は2016年11月3日深夜に東京都中野区で発生したもので、元交際相手の陳世峰(Chen Shifeng)容疑者との間にトラブルを起こした中国人女子留学生の劉暖曦(旧名「劉鑫」)容疑者が、救いを求めて友人の江歌さんの自宅に行き、江歌さんが劉容疑者を家に入れたところ、陳容疑者が現れた。ところが劉容疑者は家から閉め出し、江歌さんはその場で殺害された。

江秋蓮さんは2019年10月に、生存権を侵されたとして劉容疑者を相手取り200万元あまり(約3886万円)の賠償金を求める訴訟を起こした。これについて中国の裁判所は、劉容疑者の行為が不条理であったとして69.6万元(約1316万円)の支払いを命じる判決を下したが、劉容疑者はこれを不服として控訴した。しかし2022年12月30日の控訴審でも一審の判決が支持された。

劉被告はこれを受け、1月2日夜にブログで個人名によるコメントを発しており、その中でおよそ70万元(約1330万円)の賠償金支払いについて「判決が出た以上、払うしかない。支援してくれる人がいれば深く感謝する。一つ一つ覚えてありがたく思い、機会があれば恩返ししたい」と表明した。このコメントには「劉暖曦」の名前で投げ銭機能が設けられていた。

これに対して江秋蓮さんは1月3日ブログで、「劉は度重なる違反でブログを禁止されながら、またも新しいアカウントを作った上、賠償金の募金までしている。ブログの管理者に劉のアカウントの閉鎖を求めた」とコメントした。

そして1月4日、劉容疑者のブログのマイページが「このユーザーは規約に違反したためアカウントを永久停止する」と表示されていた。劉容疑者はブログを一旦禁止されながらもすぐに新しいアカウントを設けたが、またもあえなく禁止となったのである。

(中国経済新聞)