中国は新年に入り、各地でコロナの感染者が急増している一方で、行楽客も大幅に増えている。1月2日、CCTVの報道によると、2023年の元旦休み、中国国内旅行旅行の人数が5271万人を超え、265.17億元(訳5000億円)の国内旅行収入が実現した。
上海では、商業施設や観光地で人出が増え続けており、中心部にある七宝古鎮は年越し3連休の最初の2日間で3.7万人が訪れた。上海では休み中に「2022年越しセール」として、2022年12月23日から2023年1月28日までの年越し、正月、旧暦の正月である春節などで割引セールや季節物商品などに関するイベントが100件以上催され、商店街などが大賑わいを見せている。
北京の雍和宮は1月1日、焼香に訪れる人波が絶えなかった。また北京西駅や豊台駅は連休中連日の利用者数が10万人を超えた。
中国国営テレビによると、北京にある故宮博物院は連休の初日である12月31日の入場者数が2.2万人で、1月1日の入場予約数が上限の3万人に達するなど、人手が増え続けている。現在も予約受付の上限が最大入場者数の75%とされている故宮は、連休2日目にその上限に達した。
また各地の観光スポットも大勢の人で賑わい、河南省洛陽、雲南省シーサンパンナ、黒竜江省ハルビンでは宿泊予約件数が10倍に跳ね上がった。四川省の観光当局は1月2日、峨眉山、西嶺雪山など多くの冬場の観光地で1月1日は入場者数が最大限に達したと発表している。
中新網によると、安徽省の名所である黄山は1月1日の訪問者数が去年より57.88%も多い10873人であった。旅行サイトの飛猪(Fliggy)によると、この連休中、他の省・市への旅行予約件数が全体の8割とここ1年間で最大となっている。「スキー」「雪」などのキーワードを持つ冬場の観光商品は3割ほど伸びており、このうち吉林省長白山、黒竜江省ヤブリ、河北省崇礼が人気目的地のTop3となっている。また同じく旅行サイトの同程(LY.COM)による宿泊地の予約件数を見ると、洛陽、シーサンパンナ、ハルビンでは去年の10倍以上で、陝西省西安は862%増、浙江省寧波は451%増となっている。また航空券も値上がりし、鉄道の切符予約数もここ3か月で最も多くなっている。
中央社総合中国メディアによると、12月29日に行われた専門家によるセミナー「科学的な防疫 市民のための健康」で、感染症の権威者である張文宏(Zhang Wenhong)氏が春節の帰省ラッシュについて、「今回のコロナは感染率が非常に高く、かなりの地域で50%を超えており、春節の時期には80%に達する」と心配感を示した。
張氏は、「農村部や小さな都市では大規模な感染は発生していないが、人が集まる春節は確実に感染リスクが高まる」と述べ、帰省する際はできるだけ密を避け、実家での家族の食事会は人数を減らすべきだとしている。「100人以上の集まりが減らせればコロナの急拡大を十分に抑えられる」と言う。
中国では12月上旬にコロナ対策を緩和する「新十条」が発表されたが、北京ではその後に発熱外来の患者が17倍に増えている。著名誌の「ネイチャー」(Nature)、「サイエンス」(Science)はともに最新号で、「中国は大規模な感染や多数の死者が出るだろう」と警告を発しているほか、専門家は「緩和措置をこのまま続ければ2023年の春節には感染のピークに達する」と見ており、各地方政府などが「帰省の自粛」を呼び掛けている。
3年およぶコロナの封鎖状態を終えてようやく自由に動けるようになったこの春節、帰省の足にブレーキはかかるだろうか。
(中国経済新聞)