中国の消費低迷は、いつまで続くのか。不動産市場の落ち込みが消費を押し下げる状況から、いつ抜け出せるのか。中国経済の先行きを考えるうえで、重要な問いの一つである。
この問題について、厳しい見通しを示した研究がある。ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授と、同教授の下で学んだ楊元辰氏による、1990年代の日本と現在の中国の不動産危機を比較した論文だ。全米経済研究所(NBER)のワーキングペーパーとして公表され、2026年春には米ブルッキングス研究所の経済学会議でも発表された。中国では経済学者の夏春氏が翻訳して紹介し、関心を集めている。
研究が示すのは、中国の不動産価格の下落が消費に及ぼす影響は、日本よりも大きく、長期化する可能性があるという見方である。
国際金融の研究で知られるロゴフ教授は、日本のバブル崩壊後の経験を手掛かりに、中国が直面する問題を分析した。そこから浮かび上がるのは、銀行危機を回避できても、経済の長期低迷まで防げるとは限らないという課題だ。
似た道筋をたどる日中の不動産市場
研究によれば、日中両国の不動産市場の調整には、共通する特徴がある。
好況期には、不動産が経済成長の原動力となった。日本では1970年代から1980年代、中国では2000年代から2010年代にかけてのことである。しかし、建設や投資の拡大が続いた後、不動産は経済を押し下げる要因に変わった。日本では1990年代以降、中国では2018~2019年ごろから、その構造的な問題が表面化してきた。
中国では、不動産業と関連産業、さらにインフラ投資を合わせると、総需要のほぼ3分の1を占めるとされる。それほど大きな分野が縮小すれば、影響は建設会社や不動産開発会社だけにとどまらない。
日本の経験を振り返ると、調整の長さが分かる。日本不動産研究所の市街地価格指数によれば、六大都市の地価は1990年9月にピークを付けた。その30年後の2020年9月でも、住宅地はピーク時を65・2%、商業地は79・8%下回っていた。地価が下げ止まる兆しを見せるまでにも、十数年を要したのである。
