中国では高水準の対外開放を進める中、外資企業による投資拡大の動きが広がっている。2026年1~9月には6300社を超える外資企業が中国への追加投資を決定した。高技術産業への外資誘致額は前年同期比33.8%増加し、全体の4割を超えた。スマート製造やデジタル経済、グリーン・低炭素分野など、新たな成長産業への投資が中国の外資誘致をけん引している。
中国は今年に入り、より高い水準の対外開放を継続し、外資の誘致と活用を強化している。グリーン生産からスマート製造まで、海外の多国籍企業は中国にグローバルなイノベーション拠点を相次いで設立し、中国市場の成長機会を取り込もうとしている。
商務部のデータによると、今年1~9月の高技術産業への外資誘致額は前年同期比33.8%増となり、外資誘致総額に占める割合は4割を超えた。内訳では、デジタル経済分野が7%増、研究開発・設計サービス業が59.2%増、省エネ・環境保護・クリーン産業が11.1%増となった。
外資の投資先は、スマート製造やデジタル経済、グリーン・低炭素など、新たな質の生産力に関連する分野に集中している。各地では地域統括本部やスマート工場、研究開発センターの稼働が相次いでいる。
このほど、フランスのエネルギー管理大手、シュナイダーエレクトリックの厦門(アモイ)翔安工業園が正式に稼働した。10億元(約235億円)を超える投資で建設された同工業園は、研究開発、生産・製造、サプライチェーン機能を一体化したグリーン・スマート工業拠点で、同社の世界最大級の生産拠点の一つとなる。
同社の徐韶峰上級副社長は、今年春に中国での投資拡大を発表し、秋には厦門の工業園が完成、稼働したと説明した。これはプロジェクト建設における「中国スピード」を示すとともに、中国のイノベーションに投資するという企業の確固たる姿勢の表れだと述べた。
また、ドイツの自動車部品大手、シェフラーは今月、長江デルタ地域に新たな一体型イノベーション拠点を開設した。同拠点にはスマート研究開発センター、デジタル化された製造ライン、計算能力を備えたデータセンターなどが設けられている。
シェフラーのヨッヘン・シュレーダー最高執行責任者(COO)は、中国市場は同社にとって極めて重要だと指摘。中国では優れたアイデアから製品開発、最終的な工業化に至るまでのスピードが世界のほかの市場を上回っており、これが中国への投資を継続的に拡大する重要な要因になっていると語った。
外資企業は現在、中国国内のイノベーション・サプライチェーンや産業チェーン、豊富な応用市場との連携を一段と深めている。中国にグローバルなイノベーション拠点を構築するだけでなく、中国市場で生まれた技術や製品を世界市場に展開する動きも広がっている。
中国欧州連合(EU)商会が発表した最新報告書によると、回答した欧州企業の約3分の1が中国での現地化をさらに進めている。現地のサプライチェーンを活用して効率性と強靱性を高め、国際競争力の強化につなげている。
同商会の彦辞(イェン・ツー)会長は、中国は依然としてグローバル・バリューチェーンにおいて強い競争力を維持していると指摘。サプライチェーンの効率性やイノベーション資源の統合など、中国が持つ独自の優位性は他国が容易に再現できるものではないとの見方を示した。
フィンランドのエレベーター大手、コネは、昨年、粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)にスマート物流・組立センターを開設したのに続き、今年は中国南方本部も新たに稼働させた。同社は同地域の効率的なサプライチェーンとデジタル環境を活用し、中国市場の需要に迅速に対応する体制を整えている。
コネの包嘉峰・執行副社長兼中国大中華圏総裁は、中国は同社にとって最大の単一市場だと説明。中国で生まれたイノベーションやデジタル化、持続可能な開発に関するソリューションを製品に取り入れ、現在では130カ国以上に製品を輸出していると述べた。
商務部によると、中国国内で事業を展開する外資企業は現在56万社を超え、累計外資導入額は約4兆ドル(約600兆円)に達し、規模は世界第2位を維持している。
今年1~9月には6300社を超える外資企業が中国で追加投資を実施した。外資企業が中国国内で得た利益を再投資した金額は939億9000万元(約2兆2090億円)となり、前年同期比4.7%増加した。外資導入額に占める再投資の割合も前年同期から1.5ポイント上昇した。
商務部外資司の呉迪副司長は、今後、通信や医療などの分野で対外開放の実証事業を深化させるほか、海外投資家が配当利益を直接投資に充てる場合の税額控除政策を着実に実施し、外資企業の増資や生産能力拡大を一段と促進する方針を示した。
また、外資奨励産業目録を着実に実施し、外資を新興産業や未来産業にさらに誘導する。外資企業による技術革新や設備更新を支援するとともに、デジタル化・グリーン化への転換を加速させ、中国の質の高い経済発展につなげるとしている。
※人民元から日本円への換算は、1元=約23.5円、1ドル=約150円として概算。
(中国経済新聞)
