中国経済を代表する上海と北京が、高い経済成長を維持している。上海市の2026年1〜9月期の域内総生産(GDP)は4兆3,306億元(約102兆7,000億円)となり、前年同期比5.5%増を記録した。中国全国の平均成長率4.6%を0.9ポイント上回る伸びだ。
このペースが続けば、上海の2026年通年GDPは6兆元(約142兆2,000億円)を突破する可能性がある。実現すれば、中国で初めてGDP6兆元に達する都市となる。国際的にも巨大な経済規模を持つ都市として、存在感を一段と高めそうだ。
上海、GDP6兆元の大台に挑戦。上海は国際金融、貿易、海運、科学技術革新の各分野で中国を代表する都市だ。金融や専門サービスを中心とする都市型経済を発展させながら、造船、航空機、自動車、半導体といった製造業の基盤も維持している点が大きな特徴となっている。
なかでも注目されるのが、半導体、人工知能、生物医薬の3大先導産業だ。これらの先端産業が成長をけん引し、上海の産業構造の高度化を支えている。
上海は、金融や専門サービスなどの高度なサービス産業を発展させる一方、集積回路(半導体)、人工知能、生物医薬を重点産業として育成している。さらに、造船や大型航空機の製造など、幅広い分野で強固な製造基盤を保っている。
北京、GDP5兆元台へ 上海に次ぐ成長都市。上海に続くのが北京だ。北京市の1〜9月期GDPは4兆468億元(約95兆9,000億円)で、前年同期比5.2%増となった。上海には規模で及ばないものの、中国全国の平均を上回る成長を確保している。
この成長率が続けば、2026年通年のGDPは5兆元台半ば(約118兆円台)に近づく計算となる。さらに今後2〜3年でGDP6兆元の大台を目指す可能性もある。ただし、これは単純な試算であり、実際の年間実績や今後の成長率を保証するものではない。
北京の強みは、人工知能や大規模言語モデルを中心とする技術開発力だ。AI関連企業や大手インターネット企業、研究機関が集積し、基盤となるAIモデルの開発から計算基盤、ソフトウエア、産業への応用まで、幅広い技術開発の仕組みを形成している。
一方、上海は半導体の製造や供給網、産業への応用に強みを持つ。北京がAIの研究開発を主導し、上海が半導体製造や産業への実装を支えるという構図が、両都市の産業上の特徴となっている。
両都市に共通するのは、AIをはじめとする先端技術への投資が、経済成長の新たな柱になっていることだ。
中国全体では景気の先行きに不透明感が残り、固定資産投資にも厳しさがみられる。こうしたなか、上海と北京では先端技術産業への投資が伸び、設備投資を下支えしている。
提示された資料によると、2026年1〜9月期の高技術産業への投資は、上海で前年同期比30.6%増、北京で18.5%増となった。両都市では、高技術産業が固定資産投資に占める割合も約3分の1に達している。
人工知能の開発には、高性能半導体、大規模な計算設備、データセンターなどへの投資が欠かせない。こうした設備投資は、関連する製造業や情報通信産業にも波及する。上海と北京では、AI関連の研究開発だけでなく、それを支える設備や産業基盤への資金投入が経済を押し上げている。
上海は半導体の製造・供給網や産業への応用に強く、北京はAIモデルの研究開発やソフトウエア、技術人材の集積に強みを持つ。両都市は競争関係にある一方、中国のAI産業を異なる側面から支えているといえる。
上海と北京のGDPを中国の省級行政区と比較すると、その経済規模の大きさがさらに際立つ。
上海の1〜9月期GDPは4兆3,306億元(約102兆7,000億円)で、湖南省や安徽省を上回る規模となった。北京も4兆468億元(約95兆9,000億円)に達し、河北省を上回っている。

もっとも、上海と北京は省と同格の直轄市であり、一般の都市とは行政上の位置付けや経済圏の構造が異なる。そのため、単純な都市ランキングだけで経済力を比較することには注意が必要だ。
また、深圳についても、今後の成長が続けば2030年ごろにGDP5兆元を目指す可能性があるとみられる。ただし、実現には今後の経済成長や産業投資の動向が大きく影響する。
上海と北京の成長は中国経済の将来を占う
今後の焦点は、上海がGDP6兆元を達成できるか、北京が5兆元台に乗せられるかという規模の競争だけではない。AIや半導体への巨額投資を、持続的な生産性向上、新産業の創出、雇用、消費の拡大へとつなげられるかが重要になる。
上海の「製造業と国際金融の融合」、北京の「AI研究開発とデジタル産業の集積」。両都市がそれぞれの強みを生かしながら成長を続けられるかどうかは、中国経済全体の高度化を占ううえでも大きな意味を持ちそうだ。
(円換算: 1元=23.70円として計算。為替相場によって実際の換算額は変動する。)
(中国経済新聞)
