中国アニメ映画『八仙!』興収20億元を突破 成都高新区のデジタル文創産業が生んだ新たなヒット作

2026/10/4 10:30

中国アニメ映画『八仙!』(英題:The Eight Immortals!)が快進撃を続けている。中国アニメ映画史上の興行収入トップ3入りを果たしたのに続き、累計興行収入が20億元(約400億円)を突破した。成都高新区(ハイテク)発のデジタル文創(デジタルコンテンツ・クリエイティブ)作品として、大きな注目を集めている。

『八仙!』は、中国の民間伝承で知られる「八仙」がまだ仙人になる前の、普通の人間だった時代に焦点を当てた作品だ。性格も境遇も異なる8人の主人公たちは、それぞれの思惑を抱えながら仲間となり、蓬莱仙境を目指して旅に出る。やがて彼らは、天下を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれ、その謎を解き明かしながら、世界を救う戦いに挑むことになる。

壮大な世界観とスケール感のある映像表現に加え、緩急の効いたストーリー展開、予想を覆す巧みな展開が高く評価され、中国国内では興行収入と口コミの双方で成功を収めた。

さらに、8月中旬から海外でも順次公開が始まり、海外の観客からも好意的な反響が寄せられている。壮大で迫力のある映像、美しく構築された世界観、テンポの良い物語、そして意外性に富んだ展開が、国境を越えて観客を魅了している。

成功の背景にある成都高新区の産業クラスター。『八仙!』の成功は、一つの作品のヒットにとどまらない。成都高新区が長年にわたって進めてきたデジタル文創産業の育成と、企業同士が連携しやすい産業エコシステムの成果を示す事例ともいえる。

成都高新区では近年、数多くの知名度の高いデジタル文創IPが生まれている。『王者栄耀(Honor of Kings)』『鎮魂街(Rakshasa Street)』『那年那兔那些事儿(Year Hare Affair)』『遮天(Shrouding the Heavens)』など、中国国内で広く知られる作品が次々と登場し、デジタル文創産業における成都高新区の存在感を高めている。

『八仙!』の出品企業である東方夢工場(Oriental DreamWorks)の西南地域拠点、成都画夢成帧影視文化伝媒有限公司が入居する「天府長島デジタル文創園」も、その産業集積を象徴する場所の一つだ。

同園には、映像・アニメーションなどデジタル文創分野の川上・川下企業70社以上が集積している。そこには、国内外で活躍するクリエイティブ企業も数多く含まれる。例えば、墨境天合は映像特殊効果技術で世界トップクラスの企業群に入り、『流浪地球(The Wandering Earth)』や『鏢人(Blades of the Guardians)』など、数多くの中国映画の制作に携わっている。

艾爾平方(A4 Animation)はオリジナル2Dアニメーションを手掛け、『十万个冷笑话(One Hundred Thousand Bad Jokes)』や『鎮魂街』などの人気中国アニメIPを生み出してきた。

また、時刻互動はAIを活用した軽量な制作モデルを導入し、中国の物語を発信する高品質なネット短編ドラマを制作。超維光年は伝統衣装や無形文化遺産などと連携し、質の高い実写ショートドラマを展開している。

「一杯のコーヒーの距離」でつながる産業エコシステム。天府長島デジタル文創園の大きな特徴は、企業間の距離の近さにある。「上の階に行けば川上企業、隣に行けば川下企業」といえるほど企業が密集し、まさに「一杯のコーヒーを飲む間に会える距離」の産業エコシステムが形成されている。

IP企画、美術デザイン、アニメーション制作、映像特殊効果、音響・ミキシング、宣伝・プロモーションまで、デジタル文創コンテンツの制作に必要な機能が園区内でつながり、産業チェーン全体をカバーしている。こうした高密度な産業クラスターが、企業間の協業やリソースの共有を促し、コンテンツ制作の効率化と作品の品質向上を支えている。

興行収入20億元を突破した『八仙!』の物語は、まだ終わっていない。成都高新区も今後、「成新称意」と呼ばれるイノベーションとビジネスに適した環境のさらなる改善を進め、デジタル文創産業を対象とした公共サービスを充実させていく方針だ。

政策面での支援や企業間のリソースマッチングなどを通じて、企業が成長しやすい環境を整備し、『八仙!』のように中国文化の深みと市場での高い訴求力を兼ね備えたデジタル文創作品を継続的に生み出すことを目指している。

中国アニメ産業の成長を支える新たな拠点として存在感を高める成都高新区。その象徴ともいえる天府長島デジタル文創園は、クリエイターと企業が集まり、アイデアを作品へと変えていく場所になっている。

(中国経済新聞)