中国で結婚するとお金がもらえる? 企業・自治体が相次いで新婚夫婦を支援

2026/09/23 12:00

中国で、従業員の結婚や出産を支援する企業や、結婚したカップルに現金や消費券を支給する地方自治体が相次いでいる。少子化や晩婚化が進むなか、結婚・出産にかかる負担を軽減し、婚育を後押しする取り組みとして注目されている。

結婚した社員に「1万元」の祝い金——湖北省大冶市では、企業の「結婚支援」が具体的な形となって表れている。中国の酒造大手・勁牌はこのほど、52組の新婚社員を対象に中式の合同結婚式を開催した。新郎新婦の両親を全国各地から招き、結婚式にかかる費用を会社側が負担したうえで、1組につき1万元(約23万5,000円)相当の祝いの品や支援を贈った。

同社は単なる金銭的な支援だけでなく、社員向けの婚恋サービスも展開している。社内に「婚恋サービス」の担当者を置き、1対1の紹介や交流イベントなどを通じて、独身社員の出会いをサポートしているという。

同社のいわゆる「社内の仲人」によって、これまでに58組のカップルが誕生し、そのうち10組が結婚。さらに3組では子どもが生まれている。今回の合同結婚式にも、企業の紹介をきっかけに出会ったカップルが参加した。

「胖東来」では結婚祝いに総額約8.6億円——従業員を手厚く支援することで知られる中国の小売企業「胖東来」でも、結婚した社員への現金支給が行われている。同社が6月27日に公表した「胖東来人幸福結婚奨励公示」によると、2025年1月2日に結婚祝いの新基準を導入して以降、73人が結婚祝いの対象となり、累計365万元(約8,581万円)を支給した。

さらに2026年に入ってからは54人が対象となり、支給額は270万元(約6,350万円)に達している。単純計算すると、同社では2025年以降、結婚した社員に対して1人当たり5万元、約118万円の祝い金が支給されていることになる。

「結婚すれば1万元」 企業の福利厚生にも変化——今年2月には、武漢市のある企業の年会で、2025年に結婚または出産した50人余りの社員が壇上に上がり、1人当たり1万元以上の現金を受け取った。この企業では、2025年に結婚した社員について、単身で勤務する社員には1万元(約23万5,000円)、夫婦双方が同じ会社に勤務している場合には倍額の2万元(約47万円)を支給したという。こうした制度は、従業員の福利厚生という側面に加え、結婚・出産を含む人生設計を企業が支援する仕組みともいえる。

企業だけでなく、中国の地方自治体にも結婚を直接支援する動きが広がっている。

浙江省紹興市嵊州市では、条件を満たす初婚カップルを対象に、無料の婚前検査と妊娠前検査を一体化したサービスを提供するとともに、300元(約7,100円)を支給する。

福建省明渓県では、婚姻登記センターで正式に結婚登記を行い、婚前検査を受けた夫婦を対象に、1組3,000元(約7万1,000円)の結婚祝い金を一度支給する制度を打ち出した。対象となるのは双方が初婚で、結婚後に夫婦の戸籍が同県内に移されるケースとしている。

山西省呂梁市でも、2025年1月1日から結婚祝い金制度を開始。市内で結婚登記を行い、双方が初婚で、女性が35歳以下である夫婦を対象に、1,500元(約3万5,000円)を支給している。

このほか、広東省広州市白雲区の龍帰南嶺村、東莞市横瀝鎮新四黄塘村、佛山市順徳区陳村鎮大都村などでも、結婚を対象とした支援策が打ち出されている。杭州、寧波、義烏、安徽省蕪湖などでは、新婚夫婦を対象とした結婚消費券を発行する取り組みも行われている。

「結婚支援」を少子化対策の前段階に——中国では、少子化や人口構造の変化を背景に、出産後の支援だけでなく、その前段階にあたる「結婚」そのものへの支援にも政策の対象が広がっている。「十五五」計画綱要では、家庭を支援する政策体系を整備し、新たな婚育文化を育てるとともに、積極的な婚育観を提唱する方針が示されている。

首都経済貿易大学労働経済学院の姜全保教授は第一財経の取材に対し、中国では婚外出生が比較的少なく、多くの人が「結婚してから出産する」という順序を取っていると分析。そのため、積極的な婚育観を促す政策では、生育支援を結婚段階まで前倒しすることが意味を持つと指摘している。

結婚への現金支給は金額だけを見れば数千元程度のケースも多い。しかし、企業による数万元規模の祝い金、婚礼費用の負担、婚活サービス、自治体による婚前検査や消費券などを組み合わせることで、結婚から出産、子育てに至るまでの経済的・社会的な負担を軽減しようとする動きが見えてくる。

中国で進む「結婚したらお金をもらえる」制度は、単なる結婚祝いにとどまらず、結婚・出産・子育てを一連のライフイベントとして支援する政策・企業福利厚生の一環として位置づけられつつある。

(中国経済新聞)