中国電信はこのほど、北京郵電大学および鵬城実験室と共同で、知識ベースを活用した高軌道衛星によるクロスモーダル意味通信(セマンティック通信)の実証試験を実施し、星地間通信の伝送効率とマルチモーダル伝送品質の向上を確認した。
試験は、中国電信のクラウド・ネットワーク統合実証プラットフォームの高軌道衛星検証環境を利用し、「アジア9号」衛星を通じて実施された。知識ベースを活用した意味通信技術の実用性を、高軌道衛星による実環境で検証した。
今回の試験では、意味知識ベースと信源・信道統合符号化(JSCC)技術を組み合わせることで、星地間の伝送効率を従来方式の3.5倍以上に向上させた。
具体的には、「キーフレームをJSCCで伝送し、それ以外のフレームは知識ベース上のテキストベクトルへ変換する」という新たな方式を採用。動画全体に占めるキーフレームの割合を約0.5%まで削減し、6秒間の映像では約1枚のキーフレームのみを画像として送信し、残り約200フレームは低次元のテキストベクトルとして伝送することで、データ量を大幅に削減した。
その結果、映像品質をほぼ維持したまま(FID値50未満)、星地間の伝送効率は従来のH.264方式と比べて最大5.5倍、H.265方式と比べて3.5倍向上したという。
また、意味通信における課題の一つであるマルチモーダル伝送についても成果を上げた。知識ベースを利用した生成型意味復元技術により、映像や音声など複数のデータを統合・同期して伝送することで、マルチモーダル伝送品質は70%以上改善した。
同じ圧縮率条件下では、映像品質はH.264方式比で92%、H.265方式比で70%向上したとしている。
中国電信は、今回の実証により、高軌道衛星通信における知識ベース型意味通信の実用性が確認されたとし、今後の6Gネットワークに向けた意味通信技術の実用化・高度化を進める上で重要な基盤になるとの見方を示している。
(中国経済新聞)
