上海46歳独居女性「孤独死」、遺産が国庫帰属へ 

2026/05/4 21:15

上海市虹口区在住の独身女性46歳・蒋さんが、2025年10月に脳溢血で倒れ、約2か月の治療の末、12月14日に亡くなった。父母早逝、未婚・無子、近親者なしの独居生活だった彼女のケースは、緊急医療から死後遺産処分まで「監護人不在」の深刻な壁にぶつかり、社会に大きな波紋を広げている。

『財新網』の報道によると、2025年10月、蒋さんは突然の脳溢血で意識を失い、会社同僚が病院へ緊急搬送した。手術同意書にサインが必要だったため、遠房の従弟である呉さん(兰州在住)が駆けつけ、会社と共に3万元(約60万円)の医療費を立て替えた。その後の治療費は総額20万元(約600万円)を超えたが、蒋さんの銀行預金や加入していた重疾保険は、本人が昏睡状態のため動かせず、保険金もすぐには下りなかった。

呉さんは地元居民委員会に相談。委員会は銀行・保険会社と交渉を重ねたが、法定監護人がいないため手続きが進まず、最終的に裁判所に監護人指定を申請した。弁護士の蔡盛氏は「昏睡状態で本人の意思表示ができない場合、監護人が権利を行使する必要がある。蒋さんは生前に『意定監護人』(任意後見人)を指定していなかったため、遠房親族の呉さんは法定監護人序列に入らず、居民委員会が一時的に『公職監護』の役割を果たした」と説明する。中国民法典では、こうしたケースで民政部門や村・居民委員会が最終的な受け皿監護人となる制度が定められている。

12月14日、蒋さんの容体が急変し逝去。死後の手続きでさらなる問題が浮上した。呉さんと生前からの友人らは、遺産を使って追悼会を開き、墓地を購入したいと希望したが、居委は認めなかった。蒋さんには法定相続人がおらず、遺産管理手続きを提起できる親族もいないためだ。

中国民法典第1145条により、相続人不在または全員が相続放棄の場合、被相続人の住所地である民政部門(または村民委員会)が遺産管理人となる。上海市虹口区新聞弁公室は12月22日、蒋さんに法定相続人がいないことを確認し、居委が裁判所に遺産管理人確認を申請したと発表。今後、虹口区民政局が遺産管理人に指定されれば、債権・債務の清算後、残余財産は法定手続きを経て貧困扶助などの公益事業に充てられる。

この事件は、独居高齢者・単身世帯の急増する中国社会で、「意定監護制度」と「遺言・任意後見」の重要性を改めて浮き彫りにした。生前に監護人を指定し、遺言で財産処分や葬儀の希望を明確にしておけば、こうした「自分の金が使えない」悲劇は防げた可能性が高い。専門家は「高齢化社会では、誰もが直面しうる問題。早めの法的手続きが不可欠」と呼びかけている。

(中国経済新聞)