CCTVの報道によると、香港新界・大埔の公営住宅「宏福苑」で11月26日午後、大規模火災が発生し、重大な人的被害が出ている。香港消防処などの最新発表によると、火災による死者は少なくとも44人に達し、45人が負傷した。救助活動と消火作業は27日夕方まで続く見通しで、現場周辺では安全確保のため飛行禁止措置も敷かれている。

◆ 消火作業は長期化、現場に煙充満
香港消防処は27日、火勢が依然として残っており、最短でも同日夕方まで消火活動が続くとの見方を示した。現地の記者によると、複数の住宅棟からの火勢は前日より弱まったものの、建物内部にはまだ明火が残り、周辺には煙が立ち込めているという。
◆ 周辺に「制限飛行区」設定 無許可ドローン飛行は違法に
香港警務処は27日午前8時から30日午前8時まで、宏福苑周辺を「制限飛行区」に指定。救援活動の妨げを防ぐため、無許可での小型ドローン飛行は禁止され、違反した場合は最大10万香港ドルの罰金と2年の禁錮が科される。
◆ 外壁の保護網や発泡素材が火勢拡大の一因か
27日未明、警察と消防が合同記者会見を開き、建物外壁に取り付けられていた保護網や防水シート、プラスチック布が防火基準に適合していない疑いがあると説明した。さらに、火災の被害を受けなかった別棟でも電梯大堂(エレベーターホール)外側が発泡スチロールで覆われていたことが判明。警察は、これらの可燃性素材が火勢を急速に拡大させた可能性が高いとしている。
この工事を担当した企業の責任者ら3人(52~68歳)が重過失による誤殺容疑で逮捕された。

◆ 行政長官「最優先は救助活動」 279人が一時連絡取れず
李家超・香港特区行政長官は27日未明、死者数が36人(その後44人に更新)に上ると説明し、279人が一時的に安否確認できていない状態であることを明らかにした。現在は火勢が概ね制御されているが、政府は全力で消火と救助活動にあたっているという。民政部門は周辺に複数の避難所を開放し、住民支援を開始した。
◆ 特区政府「全力で救助と善後処理を実施」
香港特区政府は声明で、「大火を一刻も早く鎮火し、行方不明者の捜索、負傷者の治療、住民の支援に全力を尽くす」と表明した。
今回の火災は香港の住宅安全管理や工事業者の監督の在り方に大きな波紋を呼んでおり、警察は引き続き刑事事件としての可能性も視野に捜査を進めている。
(中国経済新聞)
