竹内亮氏とドキュメンタリー「名無しの子」

2025/11/26 13:30

中国の南京に住むドキュメンタリー監督の竹内亮氏が、東京で新作「名無しの子」を披露した。日本の暗黒の歴史にメスを入れたもので、戦乱のさなかだった80年前に日本政府や実の親に見捨てられた子供たちが、中国人に育てられ、後に日本に戻るまでの経緯や、今の暮らしぶりについて描いたものである。竹内氏は、2時間余りにわたるこのドキュメンタリーを通じ、「中国残留孤児」の苦しかった人生や、感謝ややるせなさを隅々まで表現した。

 私くらいの年齢になると、感動の涙を流すことは滅多にない。しかし昨日、東京・有楽町の映画館でこの「名無しの子」を見た時には、3度も熱いものがこみあげてしまった。

 1945年8月、旧日本軍「関東軍」が支配していた中国東北部にソ連軍が侵攻を始め、日本軍は敗走した。この際に、「満州開拓団」と銘打って現地を植民地化していた日本人は30万人余り、飢えと寒さに苦しんだ故に多くの子供が捨てられた。

 ある日本人女性が中国人の家の扉を叩き、寒さに震えた3歳の子供を家の女主人に引き渡して、「私は生きていられるかわかりません。お願いです。子供を引き取って下さい」と涙ながらに言った。女主人は中国語のわからない可哀想な子供を見て抱きしめ、「あなたは私の子よ。ここはあなたの家なのよ」と言った。

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