2025年金鶏百花映画祭 ― 厦門で示された中国映画120年の歩み

2025/11/17 11:15

2025年の中国金鶏百花映画祭は、11月11日に福建省厦門市で開幕した。本年度の映画祭は第38回中国映画金鶏賞を兼ねて開催され、開幕式には俳優の黄渤と周冬雨が登壇し、象徴的な「金鶏点灯」のセレモニーを行った。

今回の開幕式では、中国国内ではほとんど例のない超大型のフライングスクリーン装置が導入された。この装置は「映画の銀幕」という原点への回帰をテーマに設計されており、AIが生成した120枚のクラシック映画をモチーフとする専用ポスターが次々と映し出された。これらの映像は、中国映画が歩んできた120年の歴史を象徴する視覚的な演出として構成されている。

開幕式のプログラムは「場景・新時代」「光影・新理念」「作品・新大衆」という三つのパートから構成された。歌手の郁可唯は映画祭テーマ曲《光影人間》を初めて披露し、続いて歌手の品冠が《男児当自強》(映画『黄飛鴻(Once Upon a Time in China)』主題歌)や《想你的365天》など、観客に映画への記憶を呼び起こす楽曲のメドレーを歌唱した。

映画祭は中国映画誕生120周年という節目の年に開催され、五日間にわたり50以上の関連イベントが実施される。これには授賞式、映画フォーラム、映画推介会、映画学堂、さらに「海峡光影の夜」などの企画が含まれ、映画ファンと業界関係者が交流し学び合う場として機能している。

事前に公表されたノミネート作品には、《小小的我》(”Tiny Me”)、《長安の荔枝》(”Lychees of Chang’an”)、《好东西》(”All Shall Be Well”)、《志願軍:存亡之戦》(”The Volunteers: Fight for Survival”)、《唐探1900》(”Detective Chinatown 1900″)、《破・地獄》(”Breaking Hell”)などが挙げられている。最優秀男優賞には大鵬、朱一龍、劉昊然、易烊千璽、黄暁明が、最優秀女優賞には衛詩雅、宋佳、咏梅、段奥娟、徐海鵬がノミネートされている。受賞結果は15日の授賞式で発表される予定である。

また、厦門市は今年初めて「2025金鶏百花映画生活季」と称する文旅商連動型の消費促進企画を打ち出した。期間中、台湾から来訪した旅行者は“小三通”の有効船票を提示することで「厦金光影通」と呼ばれる特別チケットを受け取ることができ、関連する特典や割引イベントに参加できる仕組みが用意されている。こうした取り組みは、映画祭を地域文化・観光の活性化と結びつける新たな試みとなっている。

本年度の金鶏百花映画祭は、映画誕生120周年の歴史的区切りを祝うとともに、映像技術と文化交流の進展を示す場として、多様な内容を備えた催しとなっている。

(中国経済新聞)